狂人島【オワリの始まり編】 (ページ14)

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生存者③ ページ14

峰「…タクミくん…アイシテルわ…タクミくん…アイシテルわ…」

タカコさんは虚ろな目で笑みを浮かべながら、さっきから同じ言葉を繰り返している。

引きずり出した腸を愛おしそうに持ち、やがて頬ずりをした。

顔には血と何だか分からない内容物がベッタリとくっついていく。

その異常な行動で、タカコさんが今どんな状態なのか想像がついた。

あの赤い羽根の虫に刺されて狂気ウイルスに感染してしまったんだ。

そして、狂人と化したタカコさんは、恐らく恋人のタクミ君を殺したのだろう。

倒れているタクミ君の近くには、血まみれのサバイバルナイフが落ちている。

タカコさんは虚ろな目で俺達の姿を捉えると、突然、鋭い目つきに変わった。

峰「…邪魔しないデヨ」

雅「えっ…」

峰「…今、タクミ君と愛し合ってるのヨ…邪魔シナイデ」

愛し合っている・・・

この異常な行動が愛情表現だと言うのだろうか。

正常であろう俺の脳では理解出来なかった。

すると、タカコさんは持っていた腸をベチャッと地面に落として、すぐそばに落ちている血まみれのサバイバルナイフを手に取った。

そして、フラフラと立ち上がった。

峰「…アタシとタクミ君の邪魔をスル奴は…殺シテヤル」

そう言って、俺達の方へフラフラと近づいてきた。

翔「雅紀っ…！逃げるぞっ！！」

翔ちゃんの声を合図に、俺達は走り出した。

しかし、彼女もナイフを持ったまま、走って追いかけてくる。

焦りと恐怖のせいで、思うように足が進まない。

それでも必死に逃げていた。

和「あっ…！」

俺の前を走っていたニノが、ツタに足を引っ掛けて転んでしまった。

翔雅「ニノっ！！」

ニノは足をバタつかせている。

どうやら足にツタが絡まってしまったようだ。

俺と翔ちゃんは、急いで駆け寄ってツタを解こうとした。

だけど、ツタに棘があって、無理に引っ張ればニノの足が傷だらけになってしまう。

焦れば焦るほどツタは絡まっていく。

どうしようっ・・！

そんな俺達の前に、ついにタカコさんが現れた。

ニノを置いて逃げることなんて出来ない。

俺は振り上げられるナイフを黙って見つめた。