二人きりの夜�� ページ20
一階のダイニングに、ズズズと麺をすする音が響く。
ほぼ俺と同じタイミングで音を立てながら、向かいでカップラーメンをすすっている男の右頬に、くっきりと赤い手形がついている。
麺を持ったままその痕を見つめていると、向かいの男と目が合った。
智「お前なぁ、殴ることねぇべ」
ニ「いーや。今後俺に指一本触れたら、もう片方のほっぺにも手形つけてやるからな！」
お母さんからご飯代を貰っているのに、何故にこんな寂しい食事になったのかと言うと。
さっきの俺の部屋での、兄貴からの要望。
冗談だと思って、あはははて笑って返したら。
スッと腕が伸びてきて。
鷲掴みするようにムニムニと胸を揉んできた。
しかも両手で。
頭で状況を理解するよりも体が反応して。
気付いた時には俺の左手が奴の右頬に思いっきしメリ込んでいた。
ガッツリと頬に赤い手形がついた兄貴と、女の子になってしまった俺。
お互いに外に出れないつって、仕方なく家にストックしてあるカップラーメンを食べるはめに。
ピザでも頼めば良かったんだけど、そんな食欲すらわかない俺達の雰囲気は、今日から3日間二人きりで過ごすには最悪のスタートだ。
智「かず子、まだいてぇぞ」
ニ「その呼び方ヤメろ、どスケベ兄貴」
ズズズッて同時に音を鳴らした。
せっかく頼りになると思ったのに。
コイツがこんなにスケベだったなんて。
今日からの3日間、コイツと二人きりで大丈夫なんだろうか。
日曜の夜には両親が帰ってくる。
それはそれで非常に困るけど、今となっては兄貴と二人きりの方が心配で仕方がない。
今日と明日の夜は、この家にこの人と二人きりで過ごさなければいけないわけで。
俺は、このニ夜を無事に過ごせるのだろうか。
よくよく考えてみれば、智はちょうど発ジョウ期真っ盛りの18歳男子。
俺だって同じ男だから分かる。
家に女の子がいて、しかも二人きりとなれば、どうなるのかは決まっている。
例え中身が男であろうと、おっパイとメスの形をした下半身さえあれば男は狼になれる。
つまりは。
俺は確実に兄貴に襲われる。
ニ「イヤあああ‼ ケダモノぉぉぉ‼」
智「はぁん⁉⁉ 触ってねぇわッ‼」
ニ「ぜーったい、ぜぇーったい触んなよ、えろ兄貴‼‼」
智「触んなって言われると余計触りたくなるわい！」
ニ「イヤぁーーーー！！(泣)」
誰か俺にマシンガンをーーッ！！！
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2020年2月16日 1時
