ep.1 ふたりのイチゴショート ページ5
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「いらっしゃいませ」
私がにこやかに微笑むと、背の高いその男性は、「どうも」とはにかんだ。
「あ、佐々木さん！いつもありがとうございます！」
厨房から郁人が顔を覗かせ、挨拶をする。
「河合さん、おはようございます」
「いつもの？」
「はい。ショートケーキを、2つ」
注文を受けて、郁人が手早く、ショートケーキを2つ、小さな箱に詰めていく。
佐々木さんは、数か月前から、毎週土曜日に来店される、常連のお客様。
いつも必ず、イチゴのショートケーキを2つ、買っていく。
圧倒的に女性客の多いこの店で、背の高い男性客であることと、必ず決まったものを買っていかれるということで、すぐに馴染みのお客様になった。
「いつもありがとうございます」
「いえ、こちらこそ」
チリリン、という軽やかな音を残して、佐々木さんは店を後にした。
洋菓子店の朝は、そこまで忙しくない。
取引先への手土産を求めてやってくるサラリーマンや、月替わりの新作を求めて来てくださる常連の奥様、講義前にお茶しに来る優雅な女子大生。
繁忙期でもないこの時期は、比較的穏やかに朝の時間が過ぎていく。
昼休憩は順番に取って、忙しくなるのは昼過ぎから。
本格的なティータイムだ。
「いらっしゃいませ」
「店内でお過ごしでしょうか？」
キラキラしたギャルソン2人に案内されて、女性客は高確率で目をハートにする。
イケメンの働く洋菓子店、なんて噂がSNSで広がり、若い女性からオシャレなマダムまで、イケメン目当てにやって来る。
加えて、郁人のつくるケーキは繊細で、芸術的で、いかにもSNS映えするものだから、こんな路地裏にあるにも関わらず、そこそこの人気店だ。
1日で最も忙しい午後1時過ぎから夕方5時頃までの時間帯。行列が絶えない…なんてことは無いのだけど、この時間帯は時々、私もカフェに出て、食器を下げたり、皿洗いをしたり、レジに入ったりなんかする。
初めの頃は給仕も手伝っていたのだけど、まぁその辺はなんとなく察して、とっつーと塚ちゃんがなるべくお客様の側で動けるように、裏方に徹するようになった。
それにしても。
「とっつー、3番テーブル」
「うん、すぐ行く。塚ちゃん、」
「あ、あれだよね、大丈夫だよ」
いつもあんなに小競り合いばかりしているのに、とっつーと塚ちゃんは息ぴったりだ。阿吽の呼吸で、たった2人でこのカフェを回している。時々、本当にテレパシーでも使っているんじゃないかと思うほど。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
