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それから程なくして、和田さんは再び五つ星を訪れた。
あれから彼女とはどうなのかと尋ねると、なんとなく気まずい状況が続いているらしい。
「あの、ひとつお聞きしてもいいですか？」
「え、はい、なんでしょうか…」
和田さんは、何事か、とおどおどしている。
「何故、ガトーショコラだったんでしょうか」
「え？」
「あの日のご注文です。お好きなんですか？ガトーショコラ」
「ええっと…僕ではなく…彼女が」
「はい」
「…彼女、何故か昔から、ガトーショコラが好きで。あの日も迷わず選んで」
和田さんが、思い出すように上を向く。
「それで…本当に好きだよねって僕が言って」
『うん……だって』
『何でそんな好きなの？』
『え？』
『他のケーキ食べないの？』
『…覚えてないの？』
「……で、なんのこと？って聞いたら…」
ビンタを食らった、ということらしい。
「和田さん……よく思い出しましょう。きっと、きっとカギは」
ガトーショコラです。そう言うと、和田さんはぱちぱちと瞬きをして、それからショーケースの中に並んでいるガトーショコラを見つめて「はぁ」と言った。
・
それから数日。
イベントを翌日に控えた、閉店時間間近の五つ星。
「Aさん！！！」
慌ただしく店内に入って来たのは、余程急いで来たのか、はぁはぁと肩で息をしている和田さんだった。
「…どうしたんですか」
塚ちゃんと一緒に、明日販売する商品の最終確認をしていた私は、あまりの勢いに気圧されながら、なんとかそれだけ返事をした。
「あの…思い出しました。やっと。なんで今まで忘れてたんだろう」
「はい？」
「ガトーショコラです。なんでって、そんなの」
「お、落ち着いて」
「…僕が、買ってきた時からです。彼女が、ガトーショコラを、選ぶようになったの」
中学生の頃。落ち込んでいた彼女を励ますためになけなしのお小遣いで買った小さなガトーショコラ。
ひとつを2人で、公園のベンチでつつきながら食べて、いろんな話をしたんだとか。
「本当に何気ないことでした。でも、思い出したんです。ガトーショコラが一番になったよって。その時の笑顔も」
そう言って私を見る瞳が、まっすぐでとても眩しかった。
なんだか堂々としていて、別人みたいだ。
「これを忘れてたんじゃ、そりゃ怒ります。…ちゃんと謝らないと」
「それなら、こんなのはどうですか？」
いつの間にか店頭に出てきていたとっつーが、にやり、と不敵な笑みを浮かべた。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
