【類司】出せない勇気 ページ6
オレは類のことが好き……なんだと思う。
だが、なかなか気持ちが伝えられない。
単に恥ずかしいというのもあると思うが、きっと、今のこの関係が崩れてしまうのが怖いんだろう。
しかも、オレは男だ。気持ちを伝えれば、なおさら気まずくなってしまうかもしれない。
「司くん、次はこっちの演出を試してもらおうかな!」
「わかった!…って、また飛ぶのかぁ!?」
「ああ!もちろんだよ!」
類がオレのことを好きな筈ないと頭ではわかっているのに、類との何気ない会話でもいちいち胸が高鳴ってしまう。
「どうしたものか………」
休み時間、司は中庭にあるベンチに座ると、一人遠くを眺める。
すると突然、隣に誰かが座った。
「……る、類っ!?」
「フフ、驚かせてしまってすまないね。………ところで、何か悩み事かい?」
類はそう言って司の顔を覗きこむ。
近いっ………
「どうしたんだい?」
「なんでもない…!」
「………き、聞いてくれるか?」
司は一瞬顔が赤くなったが、冷静になり言った。
「ああ、聞かせてもらうよ。」
「…………ある人に言いたいことがあって、それを伝えると、その人との関係を壊してしまうかもしれない……となったとき、類はどうすればいいと思う…?」
司は思いきってそう聞いた。
「そうだねぇ…………素直に伝えるのがいいんじゃないかな。」
類はさらっと言った。
「は…?」
素直に…伝える……!?
司はポカンとして類の顔を見つめる。
「だって、それを伝えて本当に関係が壊れるかどうかなんてわからないだろう?」
「た、確かにそうだが……」
「勇気を出すことは大事だよ。案外心配するほどのことでもなかった、なんてこともあるかもしれないしね。」
類はそう言って笑みを見せる。
「そうか…そうだな……わかった。」
「………まあこれは、僕が自分に一番かけたい言葉なんだけどね。」
類が小さく呟く。
「む?何か言ったか?」
「いや、なんでもないよ。」
「……まあとにかく、ありがとう類!!」
「フフ、どういたしまして。」
司は類に礼を言うと、教室に向かって元気に歩いていった。
類の言葉で決心が着いた!!
オレは、類に告白するっ!!
司はそう心に決めると、拳を頭の上へ突きだした。
「何やってんだアイツ…」
それを見ていた彰人は、司に対して奇怪な目を向けていた。
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作者名:える/妹 | 作成日時:2021年9月13日 1時