続き ページ11
類「＿＿＿君は主人公の人魚姫の妹役だっただろう？」
そうだ。
あの人魚姫のショーは特別だった。
みんなが知っているお話とは違い、人魚姫＿主人公の妹がいた。
妹が後で自分の声を犠牲にすることを約束にして、人魚姫が結婚に失敗したとき泡になるまでに歌を届ければ、「人魚姫は人魚の姿も声も取り戻せる」ということだった。
だけれど、人魚姫は結婚をすることができた。
でも、人魚姫を救えようとも救えなくても結婚できても＿＿＿妹の声は犠牲になる
妹は自分の声が消える前、人間と結婚した姉を想ってお祝いの歌をきれいな声で歌う。
そして声がなくなる。声が出せなくなる。
この演出は、当時の脚本家が、
「どこかでいいことがあったとき、誰かの犠牲が必要」
という考え方を持っていたからだった。
一番最後のシーンの前に挟まれた切ないシーンはほとんどの人が最後の楽しい空気に消されて忘れることになる。
そうできている。
だから、私のあの演技を覚えているのはコアな演劇ファン、それか私のファン＿＿＿
だけだと思っていた。
A「そうです私が妹役でした。」
私はもう隠すことをやめた。
隠し通せないと思ったから隠すことをやめたんじゃない。
私がこれ以上隠したくなかったからだ。
類「＿＿僕に君は演技について歌について、あの少ない演技で魅せられた気がした。」
類さんは私が妹役だということを認めると、満足そうにそういった。
類「僕はあのショーの演出に一番とりこになった。それから演出家になりたいと思ったしね。」
「でも…君のこともきちんと記憶の中に記録されているんだ。」
「Aくんにとっては思い出したくない記憶かもしれないけどね。」
類さんにそういわれたとき、ふいに涙が出そうになった。
こんなに褒められたのはショーから降りてから初めてだった、私のことを覚えててくれたうれしさと＿＿＿こっそりされた気遣いのせいかもしれない。
その涙を私は振り払いうように首を横に振った。
今はいろんな演劇の記憶、私にとってはつらいことじゃない。
櫻子との経験が大きすぎるだけで、演劇は、ショーは、私にとって＿＿
A「私にとって＿＿＿演劇は、ショーは＿＿＿最高の思い出です＿＿っ」
といった瞬間もう一回涙が出てきてそれは振り払えず零れ落ちる
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こんわた - ＋♡きゃらめるん♡＋さん» ありがと〜！続きどんどん上げてくからね〜！ (5月28日 16時) (
レス) id: 8263e9c0e8 (このIDを非表示/違反報告)
＋♡きゃらめるん♡＋ - こんわた！更新お疲れ様です！あまり無理しないようにね〜♡続き楽しみ！ (5月28日 15時) (レス) @page30 id: 39cd88bf27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんわた | 作成日時：2023年4月7日 16時
