白き鶴からの贈り物【刀剣乱舞】 (ページ8)

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「審神者！」

くそ、こいつまた無茶を…！

「ううぅぅ……！！！」

自決しかねない呪いを3人分も抱えやがって…。
…そうか。
このまま放っておけばこいつは…。
不意にそんな考えが頭を過ぎった。
こいつが厚、鯰尾、骨喰や今剣を救ってくれたのは間違いない。
だが、俺はどうしても『とらうま』という奴からなのか、『審神者』という存在の者を殺したくなる。
今まであいつと過ごした時間内も、それは例外ではなかった。
しかし…

『やめろ！！！』

…来た。
もう1人の自分が叫ぶ。
何でだ？
何でいつも止めるんだ？
俺が審神者を殺そうとするのをやめない限り、もう1人の自分は叫び続ける。

『この子を守れ！！！』

何で守らなきゃいけないんだ？
分からない。何も分からない。
だがしかし、もう1人の自分が叫ぶ度に目の前で苦しみ、倒れている女を助けたくなる。

「…乱、例の庭に行くぞ。『アレ』ならこいつを助けられるかもしれない。」

乱は頷く。
俺は審神者を抱えて庭へ行く。

＿＿＿＿＿

今剣が拘束されていた場所に着く。
あの鎖は、霊力を吸収する物。
あれなら審神者を救えるかもしれない。
しかし、千切れた鎖は力を失っている。
千切れていない鎖は無いかと探して見たが、なかった。

「千切れていない鎖、あるよ。」

乱が指さしたのは、今剣が拘束されていた場所の右側の部屋。
そこへ向かって歩くと、確かに千切れていない鎖があった。
折れた刀剣と共に。

「これは……愛染か。」
「今剣より早く行方不明になったからね、霊力が全部吸われちゃったのかな…。」

あの女…！
俺は歯を食いしばる。
しかし、愛染には悪いが今は供養している暇はない。

「ううぅぅ……！！」

こいつを助けなければ。
本能的にそちらを優先してしまう。
俺は、ぶら下がっている鎖の1本を審神者の呪いの痣に当てる。
すると、鎖は審神者に巻き付き、霊力を吸収していく。
痣を見る限り、俺たちが鎖を壊そうとした時よりは随分遅く吸収しているようだ。
巻き付いた者に対してはじわじわと、壊そうとする者には一気に、か。
相変わらず趣味の悪い女だ。

「…乱。審神者の痣が消えたら、俺が鎖を引っ張る。力を加える為に、お前は俺を全力で引っ張ってくれ。」
「わかった。」

俺の霊力がどこまでもつか分からないが、やってやる。
まあ、4人の刀剣男士を助けてくれた借りがあるからな。
俺も少しくらいの無茶はしてやるか。