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どーこにもおらへん。
あん人、どこ行ったんねや……。
「……あ!!国行、あれ!!」
蛍丸が指さした先に荷物を抱えた審神者がおった。
まさかこんな早く本丸出ようとするとはなあ…。
蛍丸が走り出す。
「待って!!!」
蛍丸を見た審神者は、恐怖に満ちた顔をしてはった。
「行かないで!燭台切のは誤解なんだよ!審神者を殺そうとしてないんだよ!」
「………。」
「俺も、俺もそうだよ!……だから審神者、行かないで…。」
蛍丸が悲しそうな顔をする。
審神者の顔も段々複雑なもんに変わってく。
しばらく黙った後審神者は、ごめん。とだけ呟いて蛍丸に何かを渡し、走って行った。
蛍丸はとぼとぼとこっちに歩いてくる。
「何渡されたん?」
「ほたる饅頭……。」
ほたる饅頭。
蛍丸が食べたい言うとったやつやな。
蛍丸と仲良うしてはったから、せめて最後はと思って渡してくれたんやろか。
「せっかくやし、部屋戻って食べ。」
「うん……。」
蛍丸と一緒に部屋に戻る。
したら蛍丸、なんと1口で食べはった。
そこはちょっとずつ食べていくもんやないん?
と思うたけど、審神者を思い起こすもんは早めに無くしたいんやろな。
「……ゲホッ!!」
蛍丸の口から、赤黒いもんが飛び出してきた。
突然過ぎてそれが何なんかすぐに分からんかった。
いや、分かりとう無かった。
それが『血』だったなんて。
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作者名:桜花 | 作成日時:2020年4月24日 0時