第3話 ページ3
雇ってくれたとこは俺を
未成年だと分かってるかなんてどうでと良くて
とりあえず稼がなくてはと
俺は客の選んだ場所で一晩をやり過ごした。
朝目が覚めればお金を貰うだけ。
客がいなければ街を歩いてひっかけた。
契約してくれた店から
依頼のメールを確認して場所に向かう
きょうのお客さんはとてもイラだっている。
そういう客は乱暴で痛いだけで
正直関わりたくない
でもホテルに向かう足はとめない
その人の手には結婚指輪が嵌められていた
人生上手くいっていないのだろう
そうして抱かれた身体は
ギシギシと鈍い音を立てるベッドと
大して変わらない
売り払った工事は空き地からすでに
建物の外周を覆う足場を設置され
カバーが中途半端にかかっている。
不気味に聳え立つ鋼板には
外壁が画かれた完成絵と安全第一と
書かれた黒と黄色のバリケードが置かれる
やっと借りれたアパートの窓に明かりはなく
母が寝ているのを確認し自室へ向かった。
寝るためだけの部屋に横たる。
くもりガラスから鈍く照らされる月は
部屋を寒くさせていく。
まだ薄暗い空から目を逸らし
いつものヨレたTシャツとジーパンを履いて
職場に向かう。
朝はスーパーの品出し
日中はコンビニのバイト
夜はお客さんの相手して
深夜に眠りにつく。そしてまた同じ朝がくる
そんなことを繰り返しに
もう疑問すら抱かないくらい
“普通”
を過ごしている
コンビニのレジを任されたその日、
借金取りが職場に来たのはこれが何度目か。
ガラス張りの自動ドアから
こちらを気にする男らふたり
店長も嫌気が来たのだろう
俺はきょうをもってコンビニをやめた
Aくんおかえり〜？早いねぇ？
職場に来るのは辞めてくださいと伝えたはずです
お金は必ず返しますから
当たり前のことだろとでも
言いたげな顔なんて俺にはどーでもいい
スタスタと通り過ぎれば何もしてこなかった
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作者名：敬語ペンギン | 作成日時：2019年12月19日 19時
