僕の隣には亡霊がいる (ページ9)

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八話ページ9

「えー、皆さま。本日、二名の新入生が弓道部に入部してくれました。ということで〜？」

「自己紹介タイム！だよね！はい、部長から！」

「え、一年の子からじゃ」

「何言ってるんすか、部長ー」

「部長ー」

部長！やれよ部長！見損なったぜ部長！

部長！部長！と、謎の部長コールが始まった。

何だこの部は。

気が抜けるというか、なんというか。

すると部長は、「わかったから！」と言い、自己紹介を始めた。

「えー、俺は部長の健(けん)。みんな普段は部長呼びしてないから、君たちも気軽に名前で呼んでね。

じゃ、みんなもどんどん自己紹介いっちゃって！」

健先輩の合図に、五人の先輩たちが次々と自己紹介をしていく。

「私は副部長の春華(はるか)。よろしくね。で、あのポニーテールの子がうちのエースの……」

「鈴(りん)だ。よろしく」

「よろしくー！！」

「いや、お前はもう鈴先輩とよろしくしてんだろ。あ、俺は二年の淳(じゅん)。そいで、さっきからうるさいコイツが」

「陽咲(ひなた)です！私も二年生で、この怖い顔してる淳と、変な顔してる夏芽(なつめ)ちゃんとは親友なんだ」

「俺そんな怖い顔じゃねえし、夏芽だって変な顔してねえ……って、してんのかよ！」

「顔の筋肉動かしてるだけや。あ、私が夏芽。めちゃエセ関西弁で話すで〜」

「この二年生トリオは、うちの部自慢の賑やかしだよ。三年生は俺と春華と鈴ともう一人、三月(みつき)っていう男の先輩……生徒会長が部員なんだ。今日は生徒会の仕事で不在だけど、来週会えるよ」

す、すごい。

僕はずっと目を丸くして聞いていた。場の空気についていけてない自分がいるのが分かる。

「どう？俺の愉快な仲間たち！部員はこの通り少ないし、実績もあまりないし、いろいろと難しい競技だし。

だけど、俺たちがちゃんと見てアドバイスするし、お菓子持ち寄って雑談するだけの日をつくったりもするし」

健先輩はニコッと笑う。

「だから、一緒に楽しく部活動していこうね！」

健先輩がそう言うと、他の先輩たちも優しい笑顔を見せた。

なんだろう。とても温かい。

正直、この人たちとうまくやっていけるのか一瞬不安になった。

けれど、それ以上に心はとても温かかった。

気がついた時には、肩の力は抜けていた。