五話 ページ6
いつも通りの朝。
……ではない。今日は何かが違う。
いつもより静かというか……
碧人がいない。
もしかして、昨夜のことが原因か?
僕が弓道部に入るのがそんなに嫌だった?
それでいなくなるとか子供すぎるだろ。
でも、僕はもう決心したんだ。
僕は、弓道部に入部する。
――――――
「バスケ部の部室ってここだよね。う〜、入部届け出すのなんか緊張する……」
「わかるー!でもほら、私もいるんだし。一緒に行こ」
……うーん、緊張する。
時はすでに放課後。
帰宅をする人もいれば、部活に行く人、教室に残って駄弁る人やバイトに行く人、様々だろう。
ちなみに僕は、あるドアの前を
入部届けの紙を握りしめて。
そして、さっき近くにいた女子達の「緊張する」という言葉に、今、ものすごく共感している。
中学の時も、サッカー部に入部する時すごく緊張していたが、碧人がそばにいてくれたから気楽に入部することができた。
今でも覚えてる。
僕は人と話すのが苦手だし、周りからの印象も悪いから。
けれど、今碧人はいない。
いつも厄介な存在だと思っていたのに、こういう時に限ってなぜか必要だと思ってしまう。
そんな自分が嫌になったが、いつまでも人に頼っていたら駄目だ、と気持ちを切り替えた。
ちゃんとしないと。
僕はドアノブに手をかけ、ドアを開けた。
「……え、っと」
部室はがらんとしていた。
人が数人いるかなと思いきや、たった一人しかいなくて。
その人はイスに座っており、窓の外を見つめていた。
……まただ。何だろう、この安心感は。
どこか懐かしいような、そんな気持ちになった。
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餅木(プロフ) - シリアスな感じが好きです! (2022年1月26日 18時) (レス) @page11 id: c3e8d9b56b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つきなが | 作成日時:2018年2月7日 18時