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十一話 ページ12

「なぁ、想空。部活どこにすんの?」


「うーん。碧人が言ってた弓道部、結構いいよね。部長も良い人そうだったし、弓道部にしよっかな」


……なんでだよ。


なんで、俺の言った弓道部にするんだよ。


俺のこと、嫌いなくせに。


なんで、嫌いな奴の言った道を進もうとしてんだよ。


「……ごめん。でも、俺は嫌だ。あの、部長が」


本当は嫌じゃない。あの部長は面白いし、良い人だと思う。



……いや、違う。



思うからとか、勘とかじゃない。



俺は知っている。



あの人は、本当に良い人なんだ。



だけど、想空が弓道部に入部してしまったら


俺はきっと……


……あぁ、


情けない、な。




弓道をやってほしくない。




……そんな俺の想いは届くことはなく、


想空は「弓道部に入部届を出しに行く」と、そう言った。



俺は一人になりたくて、想空の前から姿を消した。


行くあてもなく、静かな町を静かに歩く。


一人になって考える時間が、今の俺に必要だった。



……きっと俺は、この一年以内に成仏するだろう。


確信はないけれど、そんな気がするのだ。


二か月後、三か月後、半年後、いつになるかは分からない。


だからドキドキしている。



一体いつ、俺は消えてしまうのだろうと、



怖くて、怖くてしかたない。



「……結局、俺は自分のことばっかだな……」


もう、どうしようもないだろう。


想空の幸せを願い続けるしか……。



それに、俺はまだあの時から生まれ変わっていない。


あの時からずっと、何か探し物を探しているみたいに。


でも、それが今年見つかった。


俺がずっと探していた、


この世界でやり残したことを―――……。

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餅木(プロフ) - シリアスな感じが好きです! (2022年1月26日 18時) (レス) @page11 id: c3e8d9b56b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:つきなが | 作成日時:2018年2月7日 18時

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