僕の隣には亡霊がいる (ページ2)

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一話ページ2

「おい、今日起きるの早くね？それに、何で前と違う制服着てんの？……あと、何で無視すんの？」

「……」

「おーい」

「……」

「おーい、想空(そら)ー？」

「あーもう！うるさいなぁ。昨日で春休みは終わり！今日から僕は高校生だから新しい制服を着てるの！」

「じゃあ、何で無視すんの」

「……碧人は亡霊。つまり、皆には見えていない。碧人が話しかけて僕がそれに応えたら、皆は僕が独り言を言っているように見える。今に始まったことじゃないだろ？」

僕が少し呆れて言うと

「へいへい」

と、碧人は適当な返事をした。

この霊、いつまで僕のそばにいるのだろう。

そして、いつになったら成仏してくれるのだろう。

そんなことを思いながら玄関へ向かうと、お母さんと目があった。

「お母さん、いってきます」

「……えぇ」

「……」

「なんだなんだ。今日も母さん冷たいな」

「……お前のせいだよ」

僕はボソッと呟いた。

――――――――

「そうかー、想空ももう高校生かー。俺が十六歳だった頃は……」

入学式に向かう学校への道。

碧人は相変わらず僕についてくるし、話しかけてくる。

「別に碧人の過去の話興味ないんだけど」

「おいおい、聞けよ。本当にいい話だから！」

「そうなんだ」

「本当に興味なさそうじゃん」

碧人は短く笑った。

すると、後ろから誰かの話し声が聞こえてきた。

「ねぇ、あの子誰と話してんの」

「それ思った。通話じゃなさそうだよね」

「幽霊と会話でもしてんのかな」

「幽霊はないわ。多分独り言じゃね？」

「独り言にしては何かキモいな」

「ひどすぎてウケる。てか一緒の高校じゃん」

「あの気味悪い男子と？まー、関わらなきゃいいでしょ」

聞こえてきた内容は僕のことだった。

あぁ……またか。

碧人の話に返事をするとすぐこうなる。だから嫌いなんだよ。

碧人のことも。

人のせいにする、自分のことも。

高校生活、心入れ替えて頑張ろうと思ったけど、頑張れる気がしない。

これから楽しく過ごせるかな。

いや、登校中でこれだ。きっと無理だな。