◇*-12-*◇ ページ12
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「……、ど、うし…て……」
「…“逢沢 Aより”」
「……！」
「この四つ葉のファンレター。…読んだらめちゃくちゃ俺宛やん」
心臓がバクバクする私に、大橋くんが1通の手紙を見せる。
それは間違いなく、…私があなたに向けて書き綴った想いの声だった。
…彼の表情(かお)が、見えない。
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「みっちーの写真買って持ってるから、てっきりみっちーのファンかと思ってたんに」
「、…っ…」
「何で教えてくれんかったん？」
「っ…、言うタイミングを逃して、…大橋くんもずっと勘違いしてたから…」
「俺が1人で突っ走ったんやとは思う…それはホンマごめん。…けど早く教えてほしかった」
ギュッと、強まる両腕。
…離れられない。遠ざけられない。
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「もし、さっきマネージャーからこのファンレターを受け取らんかったら、気付けんで後悔するとこやった」
「…後悔…？」
「……今日、Aちゃんと出会って」
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あなたの真っ直ぐな瞳が、
ゆっくりと私の想いを捉える。
正面に、あなたがしゃがみこむ。
「初めは良いファンの子やなって思ってたくらい。でも、話してくうちに“アイドル”じゃない俺のことも気にかけてくれたり、
何より…みっちーのプレゼント探しに最後まで付き合ってくれた」
「…それは…ファンなら、当然だよ」
「ううん。その“当たり前”はAちゃんだからできた。俺はそう思う」
ようやく見えた、あなたの表情(かお)。
強い視線に、錯覚してしまう。
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「俺、もっとAちゃんのこと知りたい」
「……っ、…」
「これでバイバイは嫌やなって思って…急いで追いかけたら1人で泣いてるしさ。もう焦るやん」
「……大橋く、…」
「俺はアイドルやけど遠くない。俺も、Aちゃんと同じ。…“ここ”にいる」
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「……このまま、“夢”で終わらせないから」
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ーー……もう、見れるはずがないと思っていた。
あなたとの、夢の続きは。
「……っ、…」
「…泣きすぎ」
「…だっ、て…」
「ほっぺた摘まんであげよか？絶対痛いけど」
「……お願い、します」
「ふはっ！…Aのホンマそういうとこ…」
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「好きやわ」
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……あなたのその一言から、また始まる。
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Fin.
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作者名：clover
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時：2021年11月22日 14時
