涙 “yellow” ページ34
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side black
「ほらもう泣くなって」
そう言って指で涙を軽く拭われる
「目腫れるぞ、」
ほい、と手渡されたタオルごと掴んで身体を引き寄せた
「…大丈夫、ここにいるよ」
突然引っ張ったのは俺なのに、高地は優しく抱きしめ背中をさすってくれる
そんな優しくされたら、また好きになるじゃん
「何があったかは聞かないけどさ、」
俺が泣いている理由なんて少しも知らないこの鈍感男
お前を諦めようとして、泣いてるんだよ
「俺はいつでも傍に居てやるよ」
お前から離れることを決めて、泣いてるんだよ
…なんて
伝えられない弱虫でごめん
俺、転校するんだ
そう仲間に告げたのは3日前のこと
いつもの4人は涙を流して悲しんでくれた
高地には伝えないの?
その場に高地がいないことを不思議に思った奴から聞かれる
「…全て終わるまで内緒にしてて欲しい」
ねぇ、高地?
もう出会って15年だよ
隣にいるのが当たり前で、隣で笑ってるのが当たり前で、
明日からの高地のいない毎日に俺は耐えられるかな
身勝手な話だけど、俺が居ない時に高地が耐えられない日が来ればいいと思ってしまう
高地の幸せを願ってるのに、何処かで泣いてほしいって思っちゃうんだ
「ほら、顔上げて」
高地の肩に預けていた顔を頬を掴まれ強制的に視線は上へ
「…ふ、べしょべしょだな」
「…こーちぃ、っ」
「そんな泣くなよ…」
どうしていいか分かんなくなるだろ、
そう言いながら頭を撫でてくれる高地はやっぱり優しい
「頭、撫でてくれるんだね」
「え?」
「女子が泣いてても、別に何もしないじゃん」
嗚咽に混じるように出てくる言葉は、面倒くさくて女々しい
あーこの期に及んで俺は何を期待しているんだろう
自分から出した話題だけど聞きたくないから話を切ってしまおうか、
そう思っていたら、頭を撫でていた右手は俺の左手に絡められた
「…な、に」
「その辺の女子と北斗を一緒にすんなよ。大切な幼馴染をほっとくわけないだろ」
「…ありがと、」
大切な、幼馴染
嬉しいようで俺を縛りつける言葉は、どんどん俺の首を締めていく
「どしたの、」
「口で言っても伝わるか分かんないから一応、」
「え?」
繋がれた右手を引かれそのまま目の前に高地が座った
「…待ってるからな、」
ちゅ、
そのまま唇に温かいものが触れ、優しく頭を撫でられた
fin
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作者名:ぷりむら | 作成日時:2021年3月10日 15時