ぴゅあ恋 (ページ13)

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優斗 side

ガンダで着替えて部室を後にする。

まあ、いつものことなのだけど。

Aを待たせないようにって急いでるけど、Aはあんまり気にしていないらしい。

今日も、校門を出ると髪を耳にかけてケータイを弄るAがいた。

夕陽に照らされて光る黒髪が綺麗で、横顔が綺麗で。

思わず息を呑んで固まってしまったことは絶対に言えない。

『ごめん、お待たせ』

「お疲れさま」

パッと顔を上げて笑いかけてくれるその笑顔を俺だけのものにしたいなんて。

柄にもなくそう思ってしまうくらいには魅力的なのだろう。

今手に触れたら、もし気持ちを伝えたら、と考えてしまう煩悩を振り払った。

「ね、週末お祭りだよ」

『あ、そうじゃん』

「優斗さ、」

『ん？』

「浴衣、好き？」

ユカタ？YUKATA？ゆかた？……浴衣？

浴衣ってあの、しずしず歩く女の子のうなじが見えちゃうあれ？

俺が1度はしたい浴衣デートのあれ？

「あの、優斗？聞いてた？」

『めっちゃ好き！！』

「あ、え、ほんと？よかったあ」

『え！着てくれんの！？』

「優斗が嫌じゃなかったら着ようかなって。浴衣で夏祭りって夢なの」

……おいおいおいマジかよマジかよ！！！

これは来た、もう神様が俺に惚れてるんだそれしか考えられない。

Aと夏祭り行けるだけでもかなりの幸せなのに、その上浴衣。

さすがに上がっていくテンションを止めることができなくて、大きくガッツポーズをした。

可笑しそうに隣で微笑むAがキラキラして。

この時間がずっと続けばなあ、なんて結構真剣に祈った。