道具達 ページ10
一体、また一体と倒しても倒しても湧いてくる時間遡行軍。私はまだいいけど、萌衣は打刀のリーチが戦いにくそうだ。しかし、段々と霊力も底が見えてきた。一回退くしか無いのか?検索しても最適解はそれしか無さそうだ。萌衣に話して脱出しようと思ったときだった。
『待て!』
通信装置に触れようとした手がガクンと止まる。
『…何ですか、薬研さん。』
『脱出する気か。』
『はい、もう霊力が限界なので。動けなくなれば、解体でもされて女巫の機密が漏洩してしまいます。』
『俺に5分だけ体を完全に貸してくれ。』
『無理です。それは禁止されています。そもそもこれ以上は…。』
『脱出したら、それを追跡される可能性がある!政府には仲間がいる!逃げるわけにはいかない!』
『…確かにそうですね。ですがそれは心配要りません。私達が戦えば良いのです。たとえ戦闘不能になっても政府の敷地内ならいつでも霊力を満たんにした状態での自爆が可能ですから女巫の機密が漏洩する心配はありません。刀剣男士の方々には申し訳ないですが…。納得していただけますよね?私達、お互い道具ですから。』
『違う!お前は、お前達は────!
──っ!すまんな、無理矢理制御を外させてもらうっ!』
『なっ、そんな、止めてください!そんなことしたら薬研さんが──!』
ぶつんと意識が途切れる。
あれ、なんでわたしやげんさんをあんなにひっしにとめようとしたんだろう。
おたがいどうぐだといったのはわたしなのに。
どうしてわたしはやげんさんをうしないたくないとかんがえたんだろう?
ああでも、あのときかんじたせなかのぶぶんがこおるようなきぶんはひどくふゆかいだった。
ああ、それにしても、どうしてわたしはこのことについてこんなにかんがえているのだろう。
どうせけいきのふちょうにきまってるのに────。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きつね | 作成日時:2019年5月12日 16時