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任務 ページ3

がちゃん、と音がして寝室(かくのうこ)のドアが開いた。同時に蛍光灯が一斉につく、刺すような光で目が覚めた。
周りでも布団がもぞもぞと動き始め、中に入っているものの顔が覗く。

顔。



自分と瓜二つの顔が30個ほど。
常人が見たら恐怖と気持ち悪さで卒倒するかも知れないが生憎人形の私達にそんな感情は備わっていない。
「おはよう、A!」
「おはよう、萌衣。って、急に飛び付かないで。受け止められなかったら大変じゃない。」
「そこは〜、多分Aなら大丈夫だから〜。でも気を付けまーす。」
笑いながら身支度を整え、教官室へ向かう。
教官はいつも私達に指令を伝える人だ。上司…というものだろうか。
こんこんと教官室のドアをノックすると出てきた教官が一瞬顔をしかめる。もしかしたら調子が悪いのかもしれない。
「教官、お体の調子が芳しくないようですが、病院に行かれるのは如何でしょう?」
私達がそういうと教官はいや、大丈夫だと頬を緊張させた。
「さて、今日の指令だが、違反審神者の処理だ。A、萌衣。向かってくれ。他は、いつもどおり、時間塑行軍の陽動を。くれぐれも、刀剣男士、時間塑行軍へ正体がバレるのには注意しろ。」
「「「了解しました。」」」
部屋に戻って武器庫から彼を取り出す。




薬研藤四郎。名刀中の名刀で、私の仕事仲間。
「きょうもよろしくお願いいたします。」
持った瞬間、私の中に彼が入ってくるのを感じる。
『おはようさん、A。』
「おはようございます、薬研さん。」
挨拶を交わしてから部屋の姿見をくるっと振り返る。
うん、ちゃんと憑依できてる。
そこにうつっている私は艶やかな黒髪に菫色の瞳を持ち、大柄な桔梗が一輪染め抜かれている短い丈の紺の着物と朱色の細い帯を身に付けていた。
「A、支度早いね!」
「萌衣こそ。」
「じゃ、いきますか。」
うん、と頷いて時間転移装置に違反審神者のいる、本丸ナンバーを入力する。
「「いってらっしゃい、A、萌衣!」」
光の向こうで皆が叫んだ。
さて、仕事といきますか。

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設定タグ:刀剣乱舞 , 薬研藤四郎 , 時の政府   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:きつね | 作成日時:2019年5月12日 16時

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