遺言 ページ12
「──A!A!」
「っう…。」
暗い意識の中で声が響く。瞼を開けた。
目の前で白い髪が揺れる。私に呼び掛けているのは…萌衣だ。嬉しそうな顔をしている。
「萌衣…、敵は…。」
そうきくと萌衣は一転して悲しそうな表情になった。
「敵は…殺したよ。」
「なら…、どうしてそんな顔を…。」
「…薬研さんが消滅してしまった…。」
「──!…やっぱり…。どうしてあんなことを…。」
「…。」
黙ってしまった萌衣を横目に四肢に異常がないか確認する。きちんと動くがそれらはいつもより重く感じられた。不意に
「ごめん…。休んでるのに邪魔しちゃったね…。」
と萌衣は言って立ち去っていった。
…私達には涙を流す機能は無いけれど、もしあったなら、彼女が歩いたあとには滴った雫が残されていたのだろうか。
そう思うと何故か胸が暖かくなった気がした。
驚いて計器を確認するが何も異常はない。
私達の中の何がこんなに色々な変化を私達にもたらしているのだろうか。
知りたい。
消えた貴方の伝えたかったことも。
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作者名:きつね | 作成日時:2019年5月12日 16時