伍拾漆 ページ10
お昼ご飯の片付けが済んで、杏寿郎さんのお部屋を覗くと、ちゃんと良い子に薬を飲んで眠っている様子。
ふと衣紋掛にかけてある羽織を見ると、少しほつれているのが見えた。
『お仕事に復帰する前に繕わなきゃ…』
明かりをとる為に少し障子を開けて、庭の方を向いて羽織のほつれている所を縫う。
チクチク…
チクチク…
いつの間に起きたのか、杏寿郎さんが私の髪先を触る。
「…っ?
起きましたか?」
振り向こうとすると
「そのままで…」
と、言われる。
仕方なく、髪を弄ばれながら裁縫を続ける。
でも、触られている所が熱を帯びた様に感じ、気になって仕方がない。
その腕がすっと伸びて、今度はうなじから髪を梳く。
「…綺麗な、髪だな…」
「ーーっ!
いえ…
そんな事は…」
ドキドキして、息が上手くできない。
衣擦れの音がして、杏寿郎さんが起き上がるのが分かる。
…そして、
杏寿郎さんは私を後ろから優しく抱きしめた。
…
…
私は、おずおずその腕を掴み頬を寄せる。
鳥の鳴き声
頬を優しく撫でる風
杏寿郎さんの温もり
私の心臓だけが、ドクドクとうるさく鳴っている。
「A…」
杏寿郎さんが、私の名を優しく呼ぶ。
「…はい」
杏寿郎さんの手が、私を優しく杏寿郎さんの方へと導く。
そっと見上げると、大好きな赤い瞳と目があった。
杏寿郎さんが、私を愛おしそうに見つめている。
何か予感めいたものがして、少し震える。
「好きだ…」
杏寿郎さんが掠れた声で言う。
「私もです…」
私はそっと目を閉じた。
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華(プロフ) - ビタミンS様、うまくお話が湧いて来ると良いんですが(^-^;まさかそんな要望があると思ってなかったので、びっくりしました。期待に添えたら良いんですけど。期待せずお待ち下さい☆ (2020年11月15日 17時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ビタミンS - ありがとございます(>_<)無理せず出来る範囲で番外編を書いて下さい(><) どんな番外編になるのかも楽しみに待ってます(^^) (2020年11月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 8e18fd10fc (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ビタミンS、いつもコメントありがとうです(*´ `)おぉ、ここにも番外編要望が(汗)登場人物多いとセリフで短編は難しいのかな?本編終了後とかにでも考えてみますね(´-`*) (2020年11月15日 15時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ビタミンS - 煉獄さん、本当に嫁思いな素敵な旦那さまですね!!私も番外編を見たいです(><)妊娠する前にかまぼこ隊と柱メンバー達を巻き添えにした番外編とか読んで見たいです!! (2020年11月15日 13時) (携帯から) (レス) id: 8e18fd10fc (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ルナ様(*´ `)炎ですか!令和ですね(汗)転生後的なやつですかね?んー、考えてみます( ^‐^;) (2020年11月15日 13時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月5日 11時