【鬼滅の刃】ハッピーエンドを目指して２【煉獄杏寿郎】

漆拾肆　☆* ページ29

「頑張れよぉ！」

仲間の冷やかしに苦笑しながら、俺は祝宴を抜けた。

湯浴みをすると回っていたお酒も少しスッキリする。


ふと

『…Aは食べてなかったよな…』

そう気づき、台所でAの口に合わせて小さめのおにぎりを作る。


Aの待つ部屋に戻り、自分の部屋なのに襖を開けるのを躊躇する。


ふう、と息を吐いて襖を開くと、目の前に枕の並んだ布団が見えた。


ドキリとして、視線を巡らせると縁側に腰掛ける彼女と目があった。



ひと目見て、彼女の緊張が伝わる。



「寒くないか？」

そう言ってAの隣に腰掛けた。


「はい…」

彼女は下を向いたまま答える。


「疲れてないか？」

「はい……大丈夫です。」



俺も緊張しているが、Aも緊張してるんだなと安心する。



「花嫁御寮は、腹が減ってるのではないか？

祝宴では何も食べてなかっただろう？」

俺はそうおどけて言って、先程作ったおにぎりの包みを渡し

「形は悪いが味は保証する！

味見したからな！」

と言った。


Aは包みの中を見て、やっと微笑み

「…ありがとうございます。」

と言って、おにぎりを頬張った。


その様子を見て、じんわりと愛しい気持ちが湧いてくる。


「とてもお腹が減ってたんです。」

「祝言で腹が鳴らなくて良かったな！」

「もう！」

と膨れるその顔も可愛らしい。

俺は、

「すまん、すまん！」

と言って、彼女の頭をポンポンと叩く。



少し間が開いて

「……ありがとうございます。」

そう言って、彼女は俺の肩にもたれて頭を乗せてきた。



ドドドッと胸が早鐘を打つ。



「……冷えて来たな。」

俺は意を決して、彼女を抱きかかえる。

胸が苦しくて彼女の顔を見る事が出来ない。



障子を閉めて、彼女を大切に布団の上に下ろした。



「…A」

「…はい」


俺は下を向くAの頬に触れて上を向かせる。


緊張で揺れる目が、そっと瞼を閉じる。

俺はその柔らかい唇に自身の唇を重ねた。




体の中にどうしょうもない激情が渦巻く。




それを必死に押さえつけながら、彼女にゆっくりと体重をかけて押し倒す。


唇を離し目を開くと、布団の上に彼女の髪がパッと広がって艶かしい目で俺を見ている。


上気した頬

潤んだ目

乱れた息遣い…


「やっと、俺の物だ……」


そう言って彼女の唇を奪う。

指を絡め、組み敷くと彼女は俺の背中におずおずと手を回してギュッと掴んだ。



俺は帯を持つ手に力を込めた。

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