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漆拾弐 ページ26

「ーーー寒くないか?」

杏寿郎さんは、チラリと視線を布団に落としてから私の隣に腰掛けた。




「はい…」

私はどうしても意識してしまって、杏寿郎さんの顔を見れない。


「疲れてないか?」

「はい……大丈夫です。」



杏寿郎さんはクスリと笑い

「ーーー花嫁御寮は、腹が減ってるのではないか?

祝宴では何も食べてなかっただろう?」

そう言って、ほら、と袂から小さな包みを差し出した。



私がそれを受け取って開くと、形の歪な小さなおにぎりがちょこんと入っていた。



「形は悪いが味は保証する!

味見したからな!」

杏寿郎さんは、そう言って微笑む。



祝宴では、折角の紅が落ちたらと思って、飲み物を少々飲んだだけだった。

私はそんな気遣いに、心が温かくなって、やっと笑顔になる。




「…ありがとうございます。」

そう言って、そのおにぎりをパクリと食べた。




おにぎりは少し塩がきつかったけれど、とても心に染みて美味しかった。




「とてもお腹が減ってたんです。」

私が笑って言うと、

「祝言で腹が鳴らなくて良かったな!」

と、杏寿郎さんが笑いながら言う。




「もう!」

と膨れると

「すまん、すまん!」

と言って、私の頭をポンポンと優しく叩く。





あぁ、この人で良かった。

この人が、良かった。





「……ありがとうございます。」

そう言って私は、杏寿郎さんの肩にもたれて頭を乗せる。




心臓がこれでもかと言う程うるさく鳴っていた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 炎柱   
作品ジャンル:ファンタジー
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(プロフ) - ビタミンS様、うまくお話が湧いて来ると良いんですが(^-^;まさかそんな要望があると思ってなかったので、びっくりしました。期待に添えたら良いんですけど。期待せずお待ち下さい☆ (2020年11月15日 17時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ビタミンS - ありがとございます(>_<)無理せず出来る範囲で番外編を書いて下さい(><) どんな番外編になるのかも楽しみに待ってます(^^) (2020年11月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 8e18fd10fc (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ビタミンS、いつもコメントありがとうです(*´ `)おぉ、ここにも番外編要望が(汗)登場人物多いとセリフで短編は難しいのかな?本編終了後とかにでも考えてみますね(´-`*) (2020年11月15日 15時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ビタミンS - 煉獄さん、本当に嫁思いな素敵な旦那さまですね!!私も番外編を見たいです(><)妊娠する前にかまぼこ隊と柱メンバー達を巻き添えにした番外編とか読んで見たいです!! (2020年11月15日 13時) (携帯から) (レス) id: 8e18fd10fc (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ルナ様(*´ `)炎ですか!令和ですね(汗)転生後的なやつですかね?んー、考えてみます( ^‐^;) (2020年11月15日 13時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年11月5日 11時

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