【鬼滅の刃】ハッピーエンドを目指して２【煉獄杏寿郎】

伍拾 ページ3

家の事があるので、千寿郎君は家に戻り蝶屋敷には私だけが残った。




杏寿郎さんの回復力はすごかった。

この技を現代に伝えたら、医療費問題が万事解決するんじゃ無いかと思える程だった。




…柱って、人間を超越してるんだわ…



びっくりするけれど、早く元気になってくれるのは嬉しい。




それに…

利き手が折れてしまった杏寿郎さんに、食事の介助をする時間が、病人の杏寿郎さんには申し訳無いけど正直嬉しかったりする。



「杏寿郎さん、お夕食です。

お口を開けてください。」

と、スプーンでおじやをすくって、フーフーしてから杏寿郎さんのお口に運ぶ。



「…う、うむ！」

と、少し狼狽えながら口を開けてくれる。




…幸せだぁ…(照)




「…楽しんでいるだろう？」

杏寿郎さんが、ちょっと不服そうな顔で言う。


「楽しんでませんよっ。


…幸せを噛み締めているんですっ。」


と言って、ふふふっと笑うと、杏寿郎さんは赤くなって顔を覆う。



「…っ！

全く、君と来たら…！」



「沢山食べて、早く元気になってくださいね。


はい、

杏寿郎さん、あーん。」



観念したのか、仏頂面で大人しくもぐもぐと食べてくれる。




でも、耳が赤いですよっ。

あぁ、もう本当に何て可愛いんだろうっ！

口元が緩みっぱなしになってしまう。




スプーンを咥える唇を見て

『綺麗な唇だなぁ…』

と考えて、ちょっとドキドキしてしまう。




食事が済んで、お口の周りを拭いてあげてると


「きゃっ！？」


杏寿郎さんが私の手を強く引いて、私は彼の腕の中に閉じ込められてしまった。



「…仕返しだ…」

耳元で甘い声で囁かれて、カッと頬に熱が集まる。



胸が早鐘を打つ。



身をよじって腕の中でから逃げようとするが、ビクともしない。



「大人をからかうとは、悪い子だ。

如何してくれようか？」

赤い瞳が私の顔を覗き込む。



「ご、ごめんなさい。

つい、可愛くて…！」



赤い瞳に射竦められて、涙目になってしまう。





赤い、綺麗な、猛獣の瞳……





……食べられるっ……！








カプッ








「…あっ…！？」



耳たぶを齧られて、経験した事が無い甘いしびれが背筋を走る。

体がビクッと反応して、か細い悲鳴が口から漏れた。






杏寿郎さんは、

「お仕置きだ！」

と言ってニヤリと笑って言った。

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