【鬼滅の刃】ハッピーエンドを目指して２【煉獄杏寿郎】

陸拾参 ページ16

暑くなってきたので、杏寿郎さんが浴衣を仕立ててくれた。



藤色の浴衣に白い帯

草色の帯締め

白木の下駄

揃いの藤の花の簪も、とても可愛らしい。



「わぁ…

素敵！

ありがとうございます！」

「着てみると良い！」



杏寿郎さんに促されて、私は浴衣を着る。



「似合いますか？」

と聞くと、杏寿郎さんは満足気に

「うむ！

良く似合う！！」

と目を細めて褒めてくれた。


そして私の髪に簪をさして、もう一度

「…良く似合う。」

と言ってくれた。





通いの家政婦さんが、隣町で夏祭りがあると教えてくれる。




『…行きたいなぁ。』

「…行きたいなぁ。」


…しまった！

心の声が漏れ出てしまった(汗)





「そうか！

では行こう！！」

「大丈夫なんですか？」

「無論だ！

心配するな！！」

杏寿郎さんは、笑ってそう言う。






夕方、夏祭りの会場までは、二人で並んで歩いて行った。


考えると、日が暮れて出掛けるのは初めてな気がする。



カランコロンと軽やかに下駄が鳴る。



『手を…繋ぎたいなぁ…』

杏寿郎さんを、チラリと見上げて足を止める。

杏寿郎さんが不思議そうに私を見る。




「あの…

…

手を繋いでも良いですか？」

「う、うむ！

勿論だ！」


杏寿郎さんが、私の手を掴む。


「…これで良いか？」

優しく尋ねてくれるので

「…私の時代では、恋人同士はこう繋ぐんです。」

と、恋人繋ぎに繋ぎかえる。




遠くでお囃子の音が聞こえる。



私は

「さぁ、行きましょう！」

と、言って杏寿郎さんを促す。


杏寿郎さんは、照れくさそうな顔をして、

「うむ！

行こう！！」

と言ってくれた。




杏寿郎さんの手は、大きくて温かい。

剣を握るので、皮膚は固くてゴツゴツしている。



沢山の人の命を守る、誇り高い手だ。




そんな手を、私はとても愛しく感じて握る指に力を込めた。

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