弐拾捌 ページ30
部屋に通されると、座布団を床に置いてくれて座る様に促される。
煉獄さんは私の正面に座ると、ふぅと一息ついて
「…私は、情けない男でな。」
と、珍しくポツリポツリと話し出す。
「盗み聞きをしようとした訳では無かったのだが…
Aさんの部屋を訪ねようとした時、Aさんが俺と『ずっと一緒に居る事は出来ない』と言ってるのを、聞いてしまったのだ。」
今度は、煉獄さんが私の顔を真っ直ぐに見る。
「!」
多分、確実に私は焦った顔をしている。
何て話したら良いのか、迷っていると
「Aさんが、ここを出て行きたいと思っているとは思わなくてな。
…
元はと言えば、俺が無理やり連れてきたようなものだったし。
何も気づかず、すまなかった!」
と、頭を下げられてしまった。
「そ、それは誤解です!」
慌てて続ける
「出て行きたいなんて考えた事もありません!
寧ろ、ずっと置いて頂きたいと思っています!」
言い終わらない内に、
「本当かっ!!」
煉獄さんは身を乗り出す。
…ち、近いっ!!
目の前に迫る、煉獄さんの顔に気圧されて、体制を崩し後ろの床に手をつく。
「は、はいっ!
私はこちらのお家の方が大好きですから。」
赤くなりながら言うと
「それは良かった!
…
では、ずっとこの家に居てくれるのか?」
と更に近づいてくる。
「はい!
煉獄さんさえ宜しければ、お願いします。」
近すぎっ!
堪らなくなって、下を向きながら返事をする。
「では、あれは何だったのだ?
何か心配事でもあるのか?」
どんどん近づいてくる煉獄さんの胸を手で押し戻しながら、元の体制に戻る。
じっと私を見ている視線を感じる。
…なんて言ったら良いんだろう…
慎重に言葉を選びながら伝える。
「…私はただ…不安なんです。
…
この先、大好きな皆さんと何時まで一緒に居ることが出来るのか。
本当に未来を変えることが出来るのか。
…
…
……本当に、ずっと、ずっと一緒に居たい。
鬼舞辻との戦いの後、また同じ様に暮らしたい。
でもっ…」
堪えきれず、涙がポロポロと落ちた。
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華(プロフ) - honey milkさん» あとは文字数制限ギリギリのお話があるので、色々追加出来ないと言うのもあります。沢山のご指摘、質問ありがとうございました。何せこのお話は最初の作品で勢いで書いた所が多いので、至らぬ点が多々あるかと思いますが温かく見て貰えると嬉しいです☺️ (2021年11月6日 1時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - honey milkさん» 壱拾肆:(照)→夢主が現れた時に何も持ってない「裸」だった事を思い出して恥ずかしがってると言う事です。 ☆*:以前コメントで、「〜side」を付けてほしいとあったのですが、私が台本書きはしっくり来ないのでタイトルにつけました。 (2021年11月6日 1時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - honey milkさん» 章名について:呼吸の数字か旧漢字だったので、それに揃えてます。書き始めた頃、こんなに長くなる予定ではなかったので…本編分に関しては一応完結してるので、章名は変更する事を今は考えてません。 (2021年11月6日 1時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - honey milkさん» 壱、肆、拾:脱字、変換ミス、誤字です。訂正しました。 壱拾弐:「取り付く島(漢字にしますね)もない」で正しいです。言った事を聞き入れてもらえない、みたいなニュアンスです。 (2021年11月6日 1時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - honey milkさん» honey milk様、沢山のコメントありがとうございます(*´ `)細かい所まで見て下さっててとても嬉しいです。指摘も章名があるので分かりやすくて助かりました! ご指摘について、以下回答です。 (2021年11月6日 1時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年10月28日 10時