【３１】降操 Ｏ ページ32
「本当に…１４時間後、だよ…」
時計を見ると２３時。
現実に引くように呟いてみたけど、それほど疲れちゃいない。
こういうの、ワーカホリックハイ、っていう？
ま、ここからが今日のメインだけどね。
「マネさん、あの局行ってもらっていーかな？」
不審な顔で、その理由を尋ねてくるマネさんをなんとかごまかしながら、頭の中には局の見取り図を広げていた。
・
昨日４人でほぼ目立つ部屋、スタジオは確認した。
それで手がかりがないとするならば、その逆をいくしかない。
当たり前のようにどの建物にもあるもの。
即席で思いつく限りの場所のチェックリストを作る。
「まずは上から、下がってきますか」
・
最初は屋上から、そして各階のトイレ、資料室、各業者さんの事務所…
手元のチェックリストは次々に横線で消されていく。
対抗して思いつく限りの場所の追加を試みるけど、消していく速度には勝てない。
時計を見ると、４時。
夜が明けるまで…あと少し。
全てをさらけ出す光を浴びるまで…あと…
いいや。浴びてたまるか。
つい２４時間前の、今も心をえぐるその瞬間を、二度と味わいたくはない。
足が逸る。
そんな時に限って、エレベーター位置を知らせる数字はなかなか思うように動かない。
階段は何か大きなセットを運んでいるのか、人が停滞している。
地団駄を踏むように、待ちきれない俺の足は、目に入った非常階段の重いドアに向かった。
・
カンカンカン…
金属製で出来たそれは、俺の焦りをあおるように大きな音を上げる。
１階分。
２階分。
カンカンカン…
音が頭にこだまする。
３階分を踏み出そうと、手すりを重心に体を回した瞬間。
ふっと、
こだまが、頭の遠くから聞こえてくる。
思わず足を止める。
それにも関らず、それは鳴りやまない。
『カンカンカン…』
『カンカンカン…』
音が迫る。どんどん大きくなる。
そして、
『翔くん！』「…翔くん！」
頭の声と同時に、思わず声が出ていた。
まるで自分の中に他の人間が入っているように。
思わず見た自分の掌は、おかしいくらいに震えていた。
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 180人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こう(プロフ) - 紗音様 わわわ、また感想をいただけるなんて！！ありがとうございますっ！本当紗音様のコメントに励まされてます。次節作りましたので、よろしければまた読んでやってください (2011年11月9日 1時) (
レス) id: 44b4e6b957 (このIDを非表示/違反報告)
こう(プロフ) - 凌央様 感想をありがとうございます！冗談ではなく、凌央様のお言葉に涙腺ゆるんでしまいました…本当にありがとうございます！最後まで読んでいただけるようなお話にしてまいりますので、どうぞお付き合いください！ (2011年11月8日 0時) (レス) id: 44b4e6b957 (このIDを非表示/違反報告)
こう(プロフ) - 舞姫様 か…かんでいらっしゃる！（笑）うれしすぎます〜そのお言葉でご飯３杯いけます（笑）まだ何山かありますので、ぜひまた叫びに来てくださいませっ☆ありがとうございます！ (2011年11月7日 23時) (レス) id: 44b4e6b957 (このIDを非表示/違反報告)
こう(プロフ) - はるこ様 感想いただきありがとうございます！吸い込まれていただけているなんて…本望ですっ（笑）夢から抜け出すのはちょっと先になりそうですが、はるこ様の目でぜひ見届けてやって下さい！ありがとうございます！ (2011年11月7日 23時) (レス) id: 44b4e6b957 (このIDを非表示/違反報告)
紗音 - 翔ちゃんからのメールの内容気になる(≧∇≦)謎だらけですねｗｗ更新楽しみにしてます！ (2011年11月7日 23時) (携帯から) (レス) id: 6c3aa47080 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こう | 作成日時：2011年10月19日 1時
