キミといっしょ。【短編集】 (ページ11)

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一通り、人の顔で遊ぶのにも満足したのか
ふと彼と目が合って、頬に手を添えられたまま
唇に短いキスが落とされた。

中村「ハッハ！へんなかお」

『ほんとにやめて(笑)かおいたい(笑)』

ごめんごめん、と頭をこれまた雑に撫でられる。

彼といると、いつも暖かい気持ちになれて、
今日の仕事の疲れも全部吹っ飛んでしまうから不思議だ。

『ねえ、いつもありがとう』

中村「へ？なに、きゅうに(笑)素直じゃん(笑)」

今日くらいは素直になってやろうと思ったのに、
なんか上から目線だなあ。

『疲れてるのに、時間あったら会いに来てくれたりするじゃん？いつも嬉しいから、言いたくなった』

ムカつくから、もっと素直になってやろう。

中村「あのね、疲れてるから会いにくるの、」

『え？』

中村「Aといると楽しいし、顔みただけでもなんか、癒されるの。だから、疲れてるから、Aに会いたくなっちゃうんだよ」

いつもより素直なのはそっちじゃないか。

思ってもないことを言われて、嬉しくて照れ隠しに目の前の彼の胸に飛びついた。

『…なんか、イケメンじゃん』

中村「いまきづいたの？おそくね？(笑)」

『うそ、ずっと前からかっこいい』

中村「おまえ、顔見えないからって普段言えないこと言ってるだろ(笑)やめろよ、こっちも恥ずかしいじゃん(笑)」

『海人くんイケメン、惚れた』

中村「ずっと惚れててくれなきゃ困る(笑)」

顔を上げると、すぐ近くに海人の顔。

愛おしくなっちゃって、今度は私からキスをひとつ。

中村「お前が笑顔でいてくれたらなんもいらないの」

『私もだよ』

なんかクセー(笑)って笑いあって、
抱き合ったまま、眠りにつく。

疲れてるから会えないんじゃなくて、
疲れてるから会いたいんだよね。

君がいい夢見て眠れますように。と願いを込めて、
眠ってしまった海人の鼻頭にキスをした。

他にはなんにもいらないから。

2人で明日も笑顔でいられますように。

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fin