【キメツ学園】ハッピーエンドのその後は４【煉獄杏寿郎】

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手を繋いで、出店の間をあっち行きこっち行き。

　
　見上げれば先生が私に笑顔を向けてくれる。

　それだけで私は嬉しくて、口元が緩みっぱなしになってしまう。

　
　お祭り、来れて良かったな。

　知らず知らずの内に、足取りが軽くなる。


　空は茜色、もう夕方の風が吹く。

　出店の白熱球がキラキラと光って、とても綺麗だ。


「A、こっちだ！」


　先生に連れられて、雑踏を歩く。

　知らない所だって平気。

　だって、先生が手を引いてくれるんだもん。


　先生が手を引きながら、私を振り返る。

　目がとても嬉しそう。

　どこに行ってるんだろう？


　いつの間にか大通りを抜け、川沿い迄歩いて来てた。

　そこにあるビルに入って行く。


「？

　ここは何処ですか？」

「そろそろ歩き疲れただろう？」


　エレベーターで最上階に上がると、小さなカフェがあった。

「ご予約のお客様ですか？」

「はい、煉獄です。」

「煉獄様ですね。

　あちらのお席にどうぞ」


　店員さんに連れられて、私達はテラス席に並んで座る。

　私はレモンスカッシュを、先生はアイスコーヒーを頼んだ。

　風がザァと吹いて水の匂いを運ぶ。


「予約してたんですか？」

「うむ、まぁ、そうだな！」


　先生は少し照れ臭そうに答える。

　下を見ると河原には、沢山の人混み。

　座っている人も沢山いる。

　……あ！ もしかして！


「花火大会、ここであるんですか？」

「うむ！」

「わぁ！ すごいっ！」


　先生が、はしゃぐ私を嬉しそうに目を細めて見ている。


「こういう所って予約取るの大変だったんじゃないですか？

　ありがとうございます！」

「昔の知り合いにな、融通して貰ったんだ。

　腹は減ってないか？

　何でも頼むと良い！」

「さっき焼きそばもお好み焼きも食べたから、もう飲み物だけで大丈夫です……

　先生はまだ食べれるんですか？」

「余裕だな！」


　私が驚いて目を丸くするのを、先生は楽しそうに見てる。

　その時、店員さんが飲み物を運んで来て会話が途切れた。


　私はこっそり下駄を脱ぐ。

　座れてよかった。

　普段着物なんて着ないから、下駄が擦れて正直足が痛かったんだ。

　さっき迄夢中で歩いてたから、気づかなかったけど、こうやって落ち着くと下駄の鼻緒が当たってた所が少し痛い。


　レモンスカッシュを一口飲むと、口の中で爽やかな香りと炭酸が弾けて、疲れていた体にシュワと染み込んだ。

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