【キメツ学園】ハッピーエンドのその後は４【煉獄杏寿郎】

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「む……違うのが良かったか？」


　何だか胸が一杯になって言葉に詰まる私を見て、先生は眉尻を下げる。


「いえ……

　何だか懐かしくて、胸が一杯になっちゃって……」

「……そうか！

　そうだな……懐かしいな！」


　先生は少し遠くを見て懐かしそうに笑って、そして私を優しく見た。


「だが、君が射的をするのは初めてだぞ！

　こうやって懐かしい事をなぞったり、新しい事をしたり。

　俺達の歴史はこれからだ！

　さぁ、銃を構えてみろ」

「……っ……

　はい！」


　私は銃を構えて、出来るだけ簡単に落ちそうなお菓子に狙いを定める。


「集中！」

「はい！」


　パン！


　発射した玉は、何故か隣のお人形に当たる。


「おっ！

　上手いな！」

「……隣を狙ったんです……」

「ははっ！ そうか！

　当たった事に、変わりはない！

　銃が動かない様にしないと軌道がブレるぞ」

「意外とこれ、重くって……」


　先生は、私の後ろに回ると私の後ろから覆い被さる様に一緒に銃を支える。


「こうしっかりと脇を締めぶれない様に持って、的に狙いを定めるんだ！」

「はっ、はい！？」


　耳元で先生の声がして、私は返事はしてるけど射的どころでは無い。

　頬が燃える様に熱い。


「どうだ！

　景品に照準はあってるか？」

「はっはい！！」


　先生！

　先生の息が耳にかかって集中出来ませんっ！！


「良し！

　引き金を引け！」

「はい！！」


　パン！


　玉は真っ直ぐに飛び出して、小さな人形に当たる。

　人形はコテンと倒れて下に落ちた。


「やったな！ A！！」

「はいっ！！」

「……む……」


　嬉しくて先生の方を振り向くと、目の前に先生の顔があった。

　一緒に銃を構えてたんだから、そりゃあそうだ。


　息が、止まる。


　先生も驚いて固まっている。


「おめでとうございます！

　はい、景品！！

　彼女、良かったねえー！」


　店員さんの明るい声が、止まった時を破る。

　てか、今『彼女』って！

　『彼女』って言った！！


「『彼女』さん、良かったな！」

　先生が人形を受け取って、私に渡してくれる。

「『彼氏』さん、ありがとうございます……

　へへへ」

　私は緩む頬を押さえながら、お人形を受け取った。

　正直あまり可愛くない、往年物の猫のお人形だったけど、先生と取った宝物だ。

　お人形の頭の先からキーホルダーがついていたので、私はそのお人形を大切に巾着にぶら下げた。

　

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