恋の罠【綾部喜八郎】

33 罠 ページ34

「と、いうことだったんだよ。」
「そうだったんだね……。」

「まさか、高校でも続いてたんだね。あの人も、誰にも頼らないから ダメなんだよなぁ。」
確かに、先生や、親にも内緒にしてるっぽいしね。

「私、先輩のことが気になるから 茶華道部の活動日は、全部見学行けるようにしてみる。」
僕もー、と喜八郎くんは言った。
何かしてあげれたらしてあげたい。
＿＿＿＿

「ねぇ、話変わるけど 女子が苦手なのにどうして私とは話せれるの。」
私は、聞いた。喜八郎くんは、うーんと言った。

「君は、優しそうだから。」

？？？
「それは、ありがとう……。」
「そこら辺のキャーキャーしてる女子よりは、話しやすい。話しても疲れないし。」
私は、なんだか嬉しかった。喜八郎くんに、どう思われているのか分からなかったから安心した。

「あと、猫好きだし。」
私は、クスクスッと笑った。

「私も、喜八郎くんみたいにこうやって一緒に行動できたりする男の子いなかったな。
いつも、三木子と一緒にいたからかな…。」
中学校時代、男友達が少なかった私は、女子が男子と絡んでる姿を見て、憧れを抱いていたことはちょくちょくあった。

喜八郎くんと会ってからまだ全然経ってないけど友達が沢山できたし、なんだか楽しい。

「私 喜八郎くんといると、楽しいな。」


………ん？？

「まっ、待って、ごめん！今の無し！」
何言ってんだ私は！
軽く言った言葉が、結構恥ずかしい言葉だったことに気がついた。

「……。」
これは、もう引いてるな。明日から縁切られたらどうしよう。私は、時間を戻したいと思った。


「ありがとう、A。」

……………？
えっ、今 微笑ん…だ。

「何、ボーッとしてんのさ ほら、行くよ。」
「あっ、うん。」

写真の時の顔とはまた違った顔だった。
私は、緊張の時のあのドキドキとはまた違った胸の高鳴りが起きた。

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