鴉の学校と廃れた花園2 (ページ44)

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最終的に時生が選んだのは白くて軽いもの
もっとちゃんとしたやつにしろってあたしの意見は速攻却下された

そんなもんでちゃんと守れんのか、いささか不安は残る
こいつがそれでいいってんならしつこく食い下がったりしねえけど、やっぱり心配だ

『つかよ、アスカには言わねえのか？』
辰「まだ行くって決まった訳じゃねえ、余計な心配かけれねえだろ」
『どうせ行くよお前は、たとえ多摩雄が動かなくたってな』
辰「…お見通しか」
『たりめぇだろ、ダチ舐めんじゃねえぞ』

多摩雄ほどの付き合いがなくたって時生のことは大体理解してるつもりだ
わざわざ言葉にしなくたってそれぐらいわかる

『…明日、アスカ連れて行くよ、激励にな』
辰「ああ、説得しといてくれ」
『まったくよぉ、あたしの周りの男はどいつもこいつも面倒ごとばっか押し付けやがって』
辰「悪いな」
『いいよ別に、お前にゃ借りが死ぬほどある』
辰「あ？Aに貸しなんかあったか？」

本人は何にもわかっちゃいねえけどこいつには返しきれねえほどの借りがある
アスカの世話ぐらい喜んでやるさ

辰「じゃあな、アスカのこと頼んだぞ」
『お安いご用だ』

店の前で別れ、走り去っていく背中を見送る
まだ見えてるうちにアスカの連絡先を開いて携帯を鳴らすと、いつも通りワンコールで出た

明【もしもし】
『アスカ、今何してる』
明【何って…わかってんでしょ？勉強中よ】
『またかよ、いい加減死ぬぞお前』
明【…それはバカにしてるってことでいい？】

人の純粋な心配すら素直に受け取れねえのかこいつは
お前のため思って電話してやったっつーのによ

明【で？どうしたの】
『いや…お前には言っといた方がいいと思ってよ』
明【…怖い前振りしないでよ】
『そんな大層な話じゃねんだけどな』
明【…時生のこと？】
『ああ、まあな』
明【5分で片付ける、今どこ】

察しが良くて助かる
3年の付き合いは伊達じゃねえ