鴉の学校と廃れた花園2 (ページ42)

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『んじゃそろそろ行くわ』
筒「はい！ありがとうございました！」
『また来る、ちゃんと飯食って寝ろよ』

次の用事はもはやお馴染みの鈴蘭
かっ飛ばしてきたバイクを駐輪場に止めて、時生を迎えに溜まり場まで歩いてると、相変わらずきったねえ野次が飛んでくる

春に比べりゃ減った方だな

伊「おいA」
『うお、伊崎』
伊「まさかとは思ったがお前…こんな状況でこんなとこ普通に来るんじゃねえよ」
『むしろここが1番安全まであんだろ』

野次に紛れて聞こえるよく知った声
こっちも相変わらずの傷だらけだ

『戻ってたのか』
伊「ああ、さっきな」
『お前病院送りの頻度高くねえか？』
伊「…誰にやられたと思ってんだ」
『あたしがやったんじゃねえだろ、睨むな』
《あ…ああ…》

多摩雄の代わりに伊崎の恨み言を流してると、鈴蘭に響く声

《3年の…滝谷です…》

その主は意外すぎる人物
ぎこちなく名乗って、雄弁とは言えない口調で語り出す
初めてあいつの目的とか、意思とか、そーゆー大事な部分を知った
不恰好な演説だが、黙って聞き入る価値は大いにある

《みんなの力が要る、力を貸してほしい》

内容の割に無愛想な締めでブツリと切られた放送
鳳仙に喧嘩売った時はさすがに呆れたが、なかなかどうして、人の期待を裏切らねえ
鈴蘭に相応しい最高の男だ

『かっこいいじゃねえか、お前の大将』
伊「そうか？手かかるだけだろ」

鼻で笑っちゃいるが、ずいぶん誇らしそうだ

人の下につくタイプじゃねえ伊崎が、源治を担ぐ気になった理由が少しだけ理解できた

『それにしても明日とは、また急だな』
伊「そう言うやつだあいつは」
『復活したばっかで相手が鳳仙とは難儀なこった』
伊「誰だろうが関係ねえよ」
『ハハッ、さすが、変わらずいい男だなお前は』

天下の鈴蘭がやられっぱなしなんて、柄じゃねえ

『とっとと行ってやれ、こんなとこで油売ってる場合じゃねえだろ』
伊「言われなくてもそうする」

大将によく似た無愛想な挨拶をして、校舎に消えていく後ろ姿
街を揺らす揉め事も大詰だ
多摩雄はどうすんだろうな