鴉の学校と廃れた花園2 (ページ39)

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そんなわけねえだろ、お前は多摩雄の右腕だぞ
喧嘩は強いし頭もいいし、足手纏いどころか優秀すぎるぐらいだ
何言ってんだこいつ

詳しい話を聞くと、夕方の消防車は鈴蘭行きだったようだ
体育館燃やされるなんて聞いたことねえぞ

鳳仙の仕業だとわかってるのに源治は動こうとせず、それに業を煮やした時生が殴りかかったけど、あいつは取り合わなかったらしい

辰「しまいにゃ多摩雄に庇われちまった」
『まあ…、あいつはお前のこと溺愛してっかんな』

当たり前といっちゃ当たり前だが、その一連の流れに時生のプライドは傷ついたみたいだ

辰「なにより、同情が透けて見えんのが1番きつい」
『同情っつーか、心配じゃねえの？』
辰「どっちも同じことだろ」

時生の気持ちは痛いほどわかる
心配ってのは強いやつが弱いやつにすること
あたしらみたいな人間からすりゃ侮辱以外のなんでもない

でもこいつの場合は少し話が違う
半年前頭開いてんだ、次無茶なことして無事でいられる保証なんてどこにもない

『お前の気持ちもわからんでもねぇけど、あいつらの気持ちも汲んでやってくれ、時生』

多摩雄も源治も、それを避けてぇんだろう
あたしらは時生を失うかもしれないって言う恐怖を体験してる
もう二度とあんな思いはしたくねえ

だけど、鈴蘭生であることに心底誇りを持ってるこいつこそ、自分に正直であるべきだとも思う

『まあでも、お前が参加してえってんなら、すればいいんじゃねえの？』
辰「…なんだよ、いやにアッサリじゃねえか」
『お前の人生はお前のもんだろ、たかが喧嘩とは言え、誰かに指図されて従うもんじゃねえ』
辰「A…お前まともなこと言えたんだな」
『テメェ…こんな時間に押しかけてくるほど思い詰めてる割に失礼なこと言うじゃねえか』

お、やっと笑った
まったく、どいつもこいつも人騒がせなやつらだな
お前には暗い顔も泣き事も似合わねえよ時生

『つかよお、お前の言うこと聞くやつなんか1人もいねえのにお前だけ気にしてやるとか、そんな義理そもそもねえよ』
辰「そりゃそうだな」
『気にすんな、好きに生きるから鴉なんだろ？お前ら』