鴉の学校と廃れた花園2 (ページ34)

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『こんなとこで堂々と散歩か、えらく余裕だな』
鳴「偶然でもお前に会えるならここも悪くねえ」
『人のことボコボコにしといてよく言うぜ』

あたしの嫌味にバツの悪そうな顔をする

鳴「凌…漆原のことは、悪かったな」
『ああ、ほんとにな、テメェんとこのガキぐらいテメェで躾とけ』
鳴「お前の顔に傷つけちまった」
『いつものことだ、気にすんな』
鳴「せっかく美人だってのに」

また始まった
こいつのこれは挨拶みてえなもんで、知り合った時から会うたび会うたび同じようなことを言われる

『鳴海、お前その冗談いつまで言い続ける気だ、スベッてんぞ』
鳴「冗談にみえるか？」

あたしに触れようと伸ばされた手をはらって、いい加減飽きたことを伝えると、熱を帯びた目が向けられる
これでその発言が嘘なら大した役者だ

『…マジで言ってんのか？』
鳴「俺はずっとそのつもりだったぞ」

鳴海が今まであたしに言ってきたことが全部本気だったとしたらこいつかなり拗らせてんぞ
毎回交わしてきたつもりではいたが、ここらでちゃんとあたしの意思と立場を明確にしとくべきだな

『しょうがねえ…、お前にだけ見せてやるよ』

肌が出ないよう選んだジャージのジップを胸元まで下げる
当然隠していた赤い跡があらわになって、鳴海の視線を惹きつけた

『残念だがあたしは髪の一本、爪の先まで多摩雄のもんなんだ、悪いけど他当たってくれ』

こんなにわかりやすいマーキングは他にねえだろ
それも相手はあの芹沢多摩雄
これで効かねえならただのバカだ

鳴「…それで俺が引き下がると思ってんのか？」
『ああ、お前が頭のいいやつならな』
鳴「ならお前の見当違いだ」
『なんだ、寝取られが好きなタイプか』
鳴「と言うよりお前だな」
『しつけえぞテメェ』

まさかとは思ったがこいつはただのバカだった
恥を忍んで切ったカードだったのに意味ねえみたいだ

鳴「しっかり鈴蘭落として上書きしてやるよ」
『ほざけ髭ヅラ』
鳴「そりゃお前の男も一緒だろ」

結局面倒ごとを増やしただけか
こりゃ多摩雄に知られねえようにしねえと
これ以上巻き込まれんのはごめんだ