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言われた通りきっかり5分後に校舎を出ると、門前どころか校庭にまで侵入してくる黒塗りの車
もはや確認しなくたって誰かわかる
後部座席の窓が開いて、いかつい男が満足そうに顔を覗かせた
佐「今日はちゃんと時間通りだな」
『こんなとこまで来なくていいよ…』
佐「あー？文句言うんじゃねえ、ほら乗れ」
突然現れた非日常な光景に、残ってた鈴蘭生達がざわつく
めちゃくちゃ目立ってんじゃねえか、やめてくれマジで
絶対わざとだなこの人
こうやって目立つ登場をして、あたしに手出せばどうなるか、バカでもわかるよう間接的に見せてんだ
普段だとそんなことする柄でもねえのにこのタイミングでってことは…
鳳仙との一件はすでに耳に入ってんだろうな
『あんたほんといっつも急だな』
佐「兄貴が散歩に行くっつーからな、時間ができたんだよ」
兄貴ってのは源治の父親、滝谷英雄さんのこと
でっかい組仕切ってる人が佐野さんからすりゃ単なる兄貴分
恐ろしい話だぜ
連れてかれたのはいつも通り、こんなガキお呼びじゃねえ格の高そうな店
佐「A、お前のやることに口出すつもりはねえが、今回ばかりは見過ごせねえぞ」
乾杯も早々に、佐野さんから耳の痛え小言が飛んでくる
そうだろうとは思ってたけどやっぱり昨日の話だ
佐「好き放題暴れやがってクソガキ」
『あたしも首突っ込むつもりは無かったんだって』
佐「じゃあなんの理由があってそんな大怪我背負ってんだお前は」
『可愛がってる後輩がボコられてた、意識ねえってのに相手がしつこくて…』
佐「体が動いたってか」
あたしのことをよく理解してくれてるとは言え驚いた
今まさに言おうとしたことを先に言われるとは
『…よくわかったな』
佐「そりゃお前…、雄一と同じこと言ってんじゃねえか」
懐かしそうに目を細めて笑いながら言う
あたしが父さんに似てるとは再三言われてきたけど、それがそんなに嬉しいのか
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作者名：桜 | 作成日時：2024年2月29日 8時
