鴉の学校と廃れた花園2 (ページ25)

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『…イッ…づ…ぅ……』

意識が戻って目を開けると、見慣れた天井
反射的に飛び起きたせいで声も出ないような激痛が走る

芹「お、起きたか」
『あ？多摩雄？』

一瞬多摩雄がうちで何やってんだと思ったけどそうだ、鳳仙のやつに喧嘩売ってボコボコにされて、多摩雄と時生が迎えにきたんだっけ
で、抱えられてそのまま寝たんだな、帰り道の記憶がねえ

『…2人は？』
芹「コンビニ、お前ちなんもねえつって怒ってたぞ」

なんもねえ訳…あるわな
救急箱とかねえし
そう言えば消毒液とガーゼぐらい買えってアスカが言ってた
あいついっつも怒ってんな…主にあたしのせいで

『あ"ぁ……イッテェ…』
芹「無理すんじゃねえ」

テーブルの水取ろうとするだけで全身が悲鳴をあげる
見かねた多摩雄が代わりに取って渡してくれるけど今はその気遣いが逆に怖い

芹「なんだその顔」
『いや…、なんも言わねえのかと思って』
芹「説教されてえのか」
『いらねえよ』
芹「言っただろ、今更お前が人の言うこと素直に聞くとは思ってねえって」

懲りもせず喧嘩売ったからてっきりブチギレられると思ってたけど今回はお咎めなしみてえだ
それはそれで気色悪いな

芹「アスカに聞いた」
『あー、そうか…』
芹「男相手とは言えお前が一方的に押されるなんて珍しいじゃねえか」
『相手は幹部だぞ、あの状況じゃなきゃ手出してねえよ』
芹「知らねえやつか」
『ああ、ガソスタん時もいたやつだ』
芹「名前は」
『漆原凌、将治と同じ2年だつってたな』

タバコ吸うにも口の傷が痛え
視界も悪いし散々だ

『かっこつかねえなあ…全く』
芹「あ？」

勝てると思ってた訳じゃねえけどここまでズタボロにされるとは
情けねえなんて言葉じゃ足りねえよ

『頭のくせに勝てねえ喧嘩するなんて、笑いもんだな』
芹「俺が勝ちゃあいいんだ」
『は？』

隣に座った多摩雄の言葉に、ガキの頃した約束を思い出す
覚えてんのはあたしだけかと思ってた
あれまだ有効だったのか