鴉の学校と廃れた花園2 (ページ24)

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［芹沢多摩雄視点］

芹「おい時夫、鳴ってんぞ」

夜中に響く着信音
二度三度と鳴るもんだから俺の方が気になって出るよう促した

辰「どーせ野暮用だろ」

だるそうに笑って画面を確認する

辰「アスカだ、珍しいな」
芹「あ？アスカ？」
辰「もしもし？どうした…」

いつもみてえなどうでもいい用事かと思ったら、時生の様子がおかしい

辰「おいアスカ、落ち着け…、落ち着けって！…ああ、わかった、すぐいく、今どこだ」

電話を切った顔が強張ってる
アスカになんかあったみてぇだ

芹「どうした」
辰「…」
芹「なんだ、言えよ」
辰「…筒本が鳳仙にやられた」

筒元が？
あいつは2年だが弱い訳じゃねえ
鳳仙相手とは言えその辺のやつだったら捻れるはずだ
誰にやられたんだ

辰「Aと居合わせみてぇだけど、あいつ突っ込んでいきやがったって」

ただでさえ気がかりだっつーのに
それを聞いて一気に血の気が引いた

芹「行くぞ」

場所を聞く暇もなく咄嗟に体が動いた

あのバカ何やってんだ
あんだけ釘刺しといたのに効果なしかよ

時生に言われるがまま向かうと、アスカに引きずられた状態のAがいた
意識はあるみてえだけど重症だ

当の本人はヘラヘラしてやがるがこっちは笑えねえ

預けられた体重の軽さに寒気がする
普段どっからあんな力出してんだよ

『た…まお…』
芹「あ？」
『ごめんなぁ…』
芹「…お前もう寝てろ」

抱えて歩いてると、俺にしか聞こえないぐらいの声で謝って、すぐに寝息をたてだした

帰りながらいきさつを聞くと、こいつは筒本を守るために、アスカが止めるのを聞かず飛び込んだらしい
しょうがねえやつだ、人の為なら自分の犠牲なんて全く頭にありゃしねえ

俺の説教を無視しやがったことに呆れはするが
でも俺はこいつのそう言うとこに惚れ込んだんだ