鴉の学校と廃れた花園2 (ページ21)

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かっこつけたはいいけど正直マジできつい、防ぐだけで精一杯だ
つかリーチなげぇなこいつ、一瞬で間合い埋まるじゃねえか
捕まったら終わりなのは見てりゃわかるから必死こいて距離を取る
なんせこの漆原ってやつは加減できねえタイプっぽいからな
喧嘩するには最悪の相手だ、下手すりゃ死ぬ

『将治ぃ！聞こえてっかぁ？！』

返事を求めたわけじゃないけどピクリとも反応しない後輩に気持ちが焦る

『もうちょっと踏ん張れよ！男だろ！』

視界にチラチラ映る将治が気になってしょうがない
あいつまだ息してるか？

『クッソっ』

ちゃんと避け切ったつもりが当たった
右目の視界が狭まったのがその証拠
液体が伝う感触
ジンジンして熱い

『おらどーした、1発かすったぐらいでちょーし乗んなよ』

何を言っても何をしても無反応なロン毛野郎
煽って興奮状態に持ち込むのは不可能だな

死ぬかもしれないのに脳みそはクリアで相手の動きをちゃんと見れてる
だからと言って交わしきれる訳じゃねえし何発か受けてるけどな
今も重めの蹴りが脇腹に入って内臓ごとぶちまけそうだ

肺だけじゃ呼吸が間に合わない
あー、アスカに大見えきって出て来たのにだせーなぁ

ボタボタと血が地面に落ちる
鉄の匂いで鼻の嗅覚が効かねえ
服は見える範囲で真っ赤、クソが、私服だぞこれ
多分口の中も切ったな
なんの味かわからないものが広がってくそまずい

次まともにくらったら多分死ぬ
死にはしなくても意識は飛ぶ

でも正直耐えてるだけでも褒めて欲しい
つかあたし何発か入れてるよな？
なんでそんな涼しい顔してんだよイラつくな

次はどうやって避けようかと思案してると、遠くからサイレンの音が近づいてきた
アスカが呼んだ救急車だ、多分
ギリギリだったな

『時間切れだぞ』
熊「みてぇだな」
『おら、とっとと帰れ』

手でシッシと追い払うと、そそくさと引き上げていくハゲ集団
漆原はまだ物足りなさそうだったけど、熊切に言われて渋々帰って行った
最初からそうしろよな

あー、さすがに疲れた、立ってらんねえや

その場に倒れ込もうとすると、誰かに受け止められて阻止される
半泣きのアスカだった

『…なんて顔してんだよ』
明「バカじゃないの…！行くなって言ったでしょ！」
『そーゆー、訳にゃ…いかねえだろ…』