鴉の学校と廃れた花園2 (ページ19)

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『アスカ』
明「え？A？なんでいんのよ」
『迎えに行くつっただろ』
明「いいって言ったのに」
『なんだその言い草、可愛くねえな』
明「どう見ても可愛いでしょうが」
『見た目の話してねえよ』

一度しか来たことねえ図書館
夜中まで学校いたついでに迎えに来たけどアスカは無愛想なこと言いやがる
その割に嬉しそうな顔してっけどな

明「こんな時間まで何してたの」
『別に、学校でアッコとだべってた』
明「暇なの？」
『お前に比べりゃな』

アスカんちはこっから電車乗って二駅隣だ
どうでもいい話とかアスカの家の話とか、特にあげることのない会話を続けて帰り道を歩いてると、ちょうど駅が見えたぐらいのところで、アスカが急に立ち止まった

明「あれ、鳳仙じゃない？」

言われた方を見ると、グレーの制服にスキンヘッドの集団
ストバスのコートで、誰かと揉めてるみてえだった

おいおい、一応ここは鈴蘭のナワバリだぞ、いよいよ本格的に動き出したってのかよ

面倒ごとに巻き込まれたくねえからさっさと通り過ぎようとしたら、そうもいかねえことに気づいた

明「ねえ…A…」
『ああ…』

アスカが何を言おうとしたか
喧嘩してる相手を見たらわかる

『将治だ』

鳳仙の集団と揉めてんのは、よく知る後輩だった
なかなか骨のある強いやつなのに、今は一方的にやられてる

おいおいやべえんじゃねえのか
もうあれ抵抗できてねえだろ
どう見たってやりすぎだ

相手は、すでに血まみれで無抵抗の将治にひたすら膝蹴りを喰らわしてる

あいつ、見たことあるな、こないだガソスタにいたやつだ

喧嘩の仕方わかってねえやつは時に歯止めが効かねえ
2年前のことを思い出して居ても立っても居られなくなった
多摩雄の説教が頭を掠めるが考えてる暇はねえ

『アスカ』
明「まさか突っ込むなんて言わないでよね」
『救急車呼んどけ、一応2台な』
明「言うなって言ってんでしょ！」
『アスカ！』

懇願するように怒るアスカと目が合うと余計、自分がいかに無謀なことをしようとしてるのかがわかる
あたしの胸ぐらを掴んだ手がかすかに震えてる