僕らに、ひとしずくの愛を。 Sette 【食戟のソーマ】

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『1位だよ〜！』

「やったぜおらぁーっ！」


ついに売上げ１位を獲得し、喜びを分かち合う創真たち。
一方久我は、苦虫を噛み潰した表情で、手にしている遠スポを握り潰していた。

"くそッ……後少しだったのに…ッ"


「くがーくがー！」


そんな久我の元に、満面の笑顔を携えた人物が突撃してきた。


「うっげ！…りんどー先輩…！」

「売上げ負けたのかよくがー！」

久我をからかいに現れたのは竜胆であった。

「うるさいよ！月饗祭に参加もしないで食べ歩きしてる人に言われたくねっつーの！」

「何言ってんだ、食べ歩きも立派な参加だ！それによー、ずーっと模擬店に籠ってるから…コーハイの屋台に負けちゃうんじゃねーのかー？」

「うるさいよっ！！」

そしていつしか竜胆のペースに巻き込まれ、さすがの久我も太刀打ちできなくなる。


「あの久我照紀が口で押されてる…」

『ふふ、竜胆先輩が相手だとね？』

そんな二人のやり取りを眺めていると、少し冷静になった久我が話しかけてきた。

「やられたよ…これで全部幸平ちんの目論み通りになった訳ね。」

それに対し、創真は首をかしげてこう答えた。

「へ？何言ってんすか？月饗祭は5日間でしょ？」

「……は？」

「5日間の通算で上回れなきゃ勝った事にならないすから！勝負はまだこれからっすよ！！」

そう、創真にとっての戦いは、まだ終わっていないのだ。



そして翌日、月饗祭最終日。


賑わう創真の屋台に竜胆がやってきた。

「頑張ってるなー。でもこのペースじゃ…通算売上げで勝つのはムリそーだな？」

そう言う竜胆に、創真は"なんか勝てる"と思っていた目論見を語った。

「はは、お前だいぶ見通しあめーなー」

「……でも、客商売で負けるつもりなんか無かったんで、だからマジ悔しいっす…！」

「……なかなか素直な奴だ」


その後竜胆は、目の前の久我飯店へと足を運ぶ。
そこで中華研の料理を食べながら、店主である久我の背中に話しかけた。


「…この間の紅葉狩り会、まさか久我と同じ事言う奴がいるなんてなー」

「……ちぇ。思い出さなくていいよ去年の事は…」


そう、去年の紅葉狩りの際に、久我は創真のように十傑に食戟を挑んでいたのだ。(詳しくはNEXTgrade 26を読もう！)

その時の雪辱を果たすべく、久我は一年越しに、司とこんな約束をしたのだった。


「去年の学祭で司さん、中央エリア5日連続売上げ1位だったっしょ？来月の学祭で俺も同じ事達成できたら…


もう一度食戟を！」

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