【呪術廻戦】愛してるって言葉ほど、意味のない言葉はない【男主】 (ページ22)

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『俺ね、振られたの。あの人が結婚するからって

それで捨てられた。なかったことにされた。全部嘘だって言われた

俺への愛は、愛じゃなかったんだってさ』

握られる手が強くなった

こんなこと悟に言ってどうするんだろうと思いながらも

あの人は俺の全部だったから。

『だから悟に酷いことを言ったと思う。ごめん。』

「…その人のことまだ好きなの？」

『どうだろう。いつまで経っても忘れられない理由が、裏切られたからなのか、まだ好きなのか。』

「そっか」

『だからもう一回言わせて』

握られてた手を解き、悟の方を向く

同じようにこちらを向くこいつの目は今の夕暮れ空のように赤い

『俺は悟のこと、好きじゃない。』

「うん」

『ごめんね。ごめんなさい』

「A」

優しい声、頬が撫でられる

細められた目

「それでいい。それでもいいから

俺にAのこと好きなままでもいいって言って」

『…本気でいってんの？』

「本気」

『お前ってバカじゃないの？』

「うん。Aのことになるとバカになるし、最強でもいられなくなる」

『呆れた』

「ねぇA。好きだよ」

両手に包み込まれた頬

鼻をくすぐる悟の匂い

近づいてくる距離に目を閉じた

重く重なるそれに反応して吐息が声に混じって抜けた

離れた距離に目を開けるとまつ毛が重なり合うほどの距離に広がる青空

また暗闇に閉じていって、今度は何度もついばまれる

たまに漏れる息、

耳に残る音

『ん、…』

「A」

『っ、ん…ぁ』

久しぶりの悟の唇の感触

こんなに優しかっただろうか

こんなに胸が痛かっただろうか