107話 ページ8
聖side
みんなの姿が居なくなるのを見ると、僕は部屋の中へと入り、玄関の扉を閉め、鍵を掛けた。
「良かったでござるな、あそこまで心配してくれる友達が居て」
「うん……そうだね。所でシン、ずっと擬態化してるけど大丈夫なの？ 」
「大丈夫でござるよ。「武士たる者、忍耐強くあるべし」とテレビでも言ってたでござる。聖が体調を崩している今、侍であるシンが忍耐強く居なければならないのでござるからな」
「また時代劇の影響か……」と少し苦笑いをする。
忍耐強くの意味合いが少し違う気もするが、それ程までにシンも僕の事を気遣ってくれてるという事だ。
抜けてるとこは結構あるけど、少なくとも僕よりもしっかりしているし、役に立とうといつも一生懸命頑張っている。シンの良いところだ。
「……聖、少し聞きたいことがあるのでござるが……」
テンションが少し下がり、緊張気味になったような様子で、目線を逸らしながら僕に話しかける。
「聞きたいこと？」
「その……先程、岳斗が言ってたでござろう？ 「相棒や親友にも話せないことがあるんじゃないか」って……やけに聖が焦ってたものだから、それが本当なんじゃないかと思ってしまい……」
「……シンと僕の間に隠し事なんて、あるわけ無いだろう？」
いつも通りに平然を装いながらそう言うと、「そうでござるな、変な事を聞いてごめんでござる」と謝り、お茶を片付けて来ると言って僕から離れて行った。
嘘だ、隠し事がないなんて、そんなのただの綺麗事に過ぎない。僕はシンにも、セシルにも、まだ話してない『
いつかは話さなきゃいけないのはわかってるけど……それを話すのが怖い。
話してしまったら、僕はまた1人になってしまうんじゃないか、見限られてしまうんじゃないかって思ってしまう。
僕自身、1番思い出したくない忘れたい過去だ。出来る事ならなかったことにしてほしい程だ。
「ほんと……僕って弱虫だなぁ……」
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