105話 ページ6
岳斗side
「で、でも……僕には遊んでる暇なんて……」
「はぁ……ったく、俺より頭いい癖に何言ってんだか」
聖の額に軽くデコピンすると「いたっ! 」と言って額を手で抑えた。
「お前は頑張り過ぎなんだよ。そうやって倒れるまで無理に強くなろうとしても意味ねぇ、一旦肩の力を抜いて、気楽になろうぜ」
「岳斗君……」
「貴史の為とも思ってさ。こいつ、誰かと遊ばないと寂しさで孤独に死んでしまう兎病にかかってるからな」
「兎病なんて病気あるかぁ!! 兎に謝れよお前!! 」
「事実を述べただけでーす。そんで? どうすんだ、聖」
聖は少し呆然となるが、さっきの笑顔とは違う、ぎこちないけど嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「それじゃあ……そうしようかな。僕もみんなと遊びたいから。それに……」
聖はセシルの方を向くと、セシルはビクッと体を飛び上がらせ、「あ……え……そ、その……」と小声で何かを言いながら顔を俯かせた。
「それに僕、ずっとセシルと仲直りしたいと思ってたから」
予想してた言葉と違ってたのか、セシルは顔を上げると、「へ……? 」と少し情けない声を出した。
「僕はセシルを見捨てた挙句、身勝手な理由でセシルを遠ざけようとした。許されない事だとは思ってる……だから、こうやってセシルとも遊べば、仲直り出来るんじゃないかなーって……な、なんなら……今直ぐにでも仲直りしたいって言うか……」
「って、何言ってんだろうね、僕」と恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「本当……? 」
「うん、本当だよ。ダメ、かな? 」
セシルはポカンとなっていたが、聖の言葉を理解すると、急にセシルは涙を流し出した。
「え、えぇ!? 急に泣き出してどうしたのセシルちゃん!? 」
「や、やっぱり泣くほど嫌だった!? そ、そうだよね、こんな僕を許せるわけ……」
「ち、違うの……私も……聖と仲直りしたいと思ってたけど……本当に出来るか凄く心配で……でも、聖が仲直りしたいって言ってくれたから……私、嬉しくって……! やっと仲直り出来て良かった……! 」
涙ぐみながらセシルはニコッと聖に向かって微笑んだ。
「セシル……」
「ずっとお前の事心配してたんだぞ、お前が休んでた3週間もの間もな。あまりにもじれったいくてイラつくから力づくでも仲直りさせてやろうかと思ったぜ。まっ、これで万事解決だな」
「……うん、そうだね! 」
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