104話 ページ5
岳斗side
「あ、みんなにお茶淹れるの忘れてたね。ちょっと待ってて、今持ってくるから」
気まずい空気を紛らわそうと、聖は笑顔を崩さないように立ち上がり、キッチンの方に向かおうとした。
だが、俺がそうはさせなかった。
「……なぁ、お前は何で一人で抱え込みたがるんだ? 」
「……え? 」
「もしかして……あの涼子とかいう奴が言ってた言葉と何か関係あんのか? 」
そう言うと、聖は目を見開き、何かに怯える様な表情になる。
「図星か……やっぱ、お前心当たりがあるんだな? そしてお前は……俺達にそれを隠そうとしている。そうだよな? 聖」
「ちょっと、お兄ちゃん……! 」
俺は鋭い目で聖を睨み、その眼差しで聖は体を竦ませた。
「そんな事ないでござる! シンはずっと聖といるでござる!! 聖がシンに隠し事をするとは思えんでござる!! 」
「本当か? 大切な相棒や親友に話せない様な事だから話さねぇだけなんじゃねぇの? 」
「そうなの……? 聖……」
聖は追い込まれるかの様に焦りで息が荒くなっていき、汗も出していく。
「聖……そんな事、ないでござるよね? シンに隠し事だなんて……ないでござる……よね? 」
「お、おい……なんか言ってくれよ聖、マジに聞こえちまうだろ」
「ど、どうなんですか? 聖さん……」
全員が聖を疑いの目で見る。聖を信用出来ない、信じられない、そんな眼差しが聖の焦りを更に煽った。
「ち……違う! ただ僕は____」
「まっ、言いたくない事だなんて誰しもあるから、そりゃ仕方ねぇか」
「……は……? 」
いつも通りのふざけたテンションに戻ると、聖は息をまだ荒くさせたまま拍子抜けした様な声を出した。
「そんな事より……聖、来週の土曜って開いてるか? 」
「え……た、多分……」
「よし、そんならここにいる全員でパーっと遊ぼうぜ! 」
そう言うと、俺以外の全員が声を合わせて「はぁ!? 」と叫んだ。
「え……あ、遊ぶ……!? 」
「おう、最近この辺りにデッケェショッピングモールが出来たみたいでな、せっかくだし遊びに行こうぜ! 」
「お兄ちゃん話聞いてなかったの!? 聖さん忙しいし、今風邪なんだよ!? 」
「あ? そんなもん明日か明後日ぐらいには治ってんだろ。
金銭面なら安心しろ、こっちには八大幹部様が一人居るんだ。そりゃあガッポガッポ稼いでるだろうからなぁ……20万ぐらいせがめば問題ねぇだろ」
「滅茶苦茶な上にとんでもねぇゲス顔してやがるぜ、こいつ……」
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ