98話 ページ49
岳斗side
「岳斗……君……？ 」
「なんだてめぇは、俺らの邪魔すんじゃねぇ！！」
男は掴まれた腕を振り払い、俺の事を睨みつける。
「おーおー、随分と荒っぽいなぁ。糖分不足してんじゃねぇのか？」
「調子に乗りやがって、てめぇどこのブレイダーだ！！」
「そいつと同じD級ブレイダーチームだけど、そんな事より、俺の事だけ見てて良いのか？ 周りがどうなってるのかわかってねぇだろ？」
そう言うと、男達は周りを見て、やっと周りの視線がこっちに向いてる事に気づくと、少し顔を青ざめさせた。
「これ以上やったら……どうなるかわかってるよな？」
「っ……雑魚のくせにっ……！ 行くぞお前ら！！」
男達は状況がまずいのを把握すると、悔しそうにそこから去っていった。
「二度と来んな、バーカ！ 」
男達に向かってあっかんべーをすると、ソラも真似して「ばーか！ 」と言いながら舌をベーっと出した。
「が、岳斗君……その……」
「礼は良いって、俺は一度お前をスルーしようとしたからな。それで、あいつらは一体なんなんだ？ 」
そう聞くと、聖は肩を少しびくつかせ、顔を伏せた。
「僕の……前のチームの仲間だよ……」
「仲間？ あいつらがか？」
「うん、昔はあんな感じではなかったんだけど、チームを解散してからは、あんな風になっちゃって……」
そう語る聖の顔は、何かに怯えているようで、不良どもに囲まれてた時のような雰囲気とは何か少し違うように思えた。
「僕にとっては思い出したくも無い過去だよ、今頃きっと……僕の事____」
そう言いかけたとこで我に帰ったのか、言葉をそこで途切らせた。
「聖？ どうしたんだ？ 続きを話してくれよ」
「……何でもない、こんな事を君に話しても仕方のない事だから。ごめんね、変な話して、それじゃ」
聖は少し暗い顔をしながら、気まずそうにそこから去ろうと早足で歩き始めた。
「聖っ！！ セシルはお前の事を怒ったりなんかしてねぇ！！ だから、早く仲直りしてやれよ！！ あいつもお前の事すげぇ心配してんだから！！ 」
背中を向けて進んでいく聖に向かって声を張り上げるが、こちらに振り向くことはなく、そのままその場を去っていった。
「聖……」
聖に何があったのかはわからなかったが、他人である俺が深入りする事じゃないだろうと思いながら、俺達は聖の事を見送った。
その3日後、聖は学校にもアルティネイターにも、パッタリと来なくなった。
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