97話 岳斗side ページ48
岳斗side
「あー、疲れたぁぁぁ……」
「お疲れ様なのだ、岳斗! 」
どんよりと疲れ切った顔をしながら、ソラと共にアルティネイターのロビーを歩いていた。
魔従達との交戦から翌日、学校が終わった放課後に俺はアルティネイターのお偉い様に呼び出され、警察署にある尋問室の様な場所で変な奴に背後で睨まれながら、10枚も反省文を書かされた。お陰様で俺の右手は腱鞘炎になりそうだ。
「あのままだったらあいつら死んで更に被害が出てたとこなんだぞ。それなのに、「規則上、D級ブレイダーが出しゃばる場面ではない。それは正義とは言わない」って……何が正義だ、ここの奴らはどんだけ石頭なんだ? 」
「仕方ないのだ岳斗、うんめいは変えられない、変えられるのは自分だけなのだ」
「お、おう……どうしたよソラ、急に頭良さそうなこと言いやがって……」
「昨日見てたテレビで言ってたのだ!」
「だと思った……」
そんな下らない会話をソラとしていると、目の前で数人の男が何かを囲んで誰かと話してるのが見えた。
「おいおい、何もできない木偶の坊のくせに俺達に逆らおうってのか? 」
「俺達はお前みたいな落ちこぼれブレイダーとは違う、C級ブレイダーなんだよ。また痛い目見たいのか? 」
その光景を俺は「うわー……」と引きつった顔で見ていた。
見るからに集団リンチだ。
本当なら助けた方が良いのだろうが、生憎、疲れ切っていて助ける気にはなれなかった。
「絡むとめんどくせぇ奴だ……ソラ、無視して行くぞ」
「助けなくて良いのだ? 」
「俺は正義感の強えヒーローでもなんでもねぇんだ。あの子が助かる事を心から願ってるしかねぇ」
「頑張れよ」と心の中でエールを送りながら、その集団の横を通り過ぎようとする。
「もう君達とは関わる事なんてないよ、ほっといてくれ!」
聖に似た声に驚き、直ぐに足を止めた。
「この最弱野郎が、調子乗ってんじゃねぇぞ!! 」
集団の中の1人が聖と思われる青年に向かって殴りかかり、グッと目を瞑り、これから来る痛みに備えた。
だが、いつまでたっても痛みが来ないことに違和感を感じたのか、青年が恐る恐る目を開けると、そこには男の腕を力強く掴んだ俺が立っていた。
「あのさ、俺の仲間になんか用?」
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