84話 疾風side ページ35
疾風side
俺の選択はいつだって正しいはずだ。
周りと同じ事をして、任務の為に私情も捨て、いつも俺は真っ直ぐな道を歩いて来た。
そうやって、俺は駆け上がってきたんだ。
そんな風に生きてきた俺だからこそ、園崎の考えを理解する事ができない。今の俺達とあいつの力の差はもう明白になってるはずだ。
拳を振り下ろした時に周りにいた魔隆すらも全滅したほどの力だぞ。敵う相手じゃない。
「! ソラちゃん!! 」
園崎の妹が二人を担いで走ってくるソラの姿を見つけ、そっちの方に目線を移す。
ソラは俺達のとこに着くも、二人を地面に置き、膝に手を置いて呼吸を整えようとしていた。
「はぁっ……はぁっ……どうだ……二人を助け出した……のだ……! 」
ソラは見たかと言わんばかりにニッと笑顔を見せる。
訳がわからない。
そもそもこのチームは出来たばっかの落ちこぼれチーム。出会ってまだ信頼関係もそこまで築けてないというのに……どうして、そこまで出来るんだ。
「待って……岳斗が……」
新垣は苦しそうにそう言うと、園崎の妹もハッと思い出した。
「そうだ、このままじゃお兄ちゃんが危ない! お兄ちゃんを助けなきゃ____」
「駄目だ、撤退する」
俺は園崎の妹を止めるように淡々と言う。
「これはルールだ、他のブレイダーに任せるしか無い。諦めろ」
「そんな……お兄ちゃん……」
腰が抜けたかのようにその場にヘタッと座り込む。
あいつが悪いんだ。あいつが勝手な事をするからだ。
俺の指示に従ってれば助かるはずだったんだ。なのにあいつは俺とは別の事をした。
俺が正しいんだ、いつだって正解の道を進んでるんだ。これも全て、俺が1番になるために……
「岳斗は死なないのだ」
重苦しい空気を破るかのように、ソラは真っ直ぐな目で話す。
「死なないだと……? 何故そう言い切れるんだ」
「岳斗は死ぬつもりで戦ってるんじゃない、みんなで生きるために戦ってるのだ。だから、岳斗は絶対に死なないのだ。あんな奴になんて、負けないのだ!! 」
「ソラちゃん……」
すると、背後から大きな衝撃音が鳴り響き、咄嗟にその方向を見ると、地面はさっきよりもひび割れ、園崎はボロボロになりながらも、フレアスブレイドで自分の身体を支えていた。
「! お兄ちゃん!!」
「岳斗!! 」
やっぱり敵わないじゃないか。合理的に考えずに勝手に行動したからだ。バカにも程がある。何がみんなで生きるだ。そんなの……
「そんなの……ただの戯言だ」
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ