52話 ページ3
岳斗side
「行くぞ」
立ち入り禁止のテープを潜り抜け、俺も疾風に続いてテープを潜り抜ける。
「特に変わった様子はねぇ見てぇだけど……てか、これ俺達来る意味あったか? ここを調べるっつってもよ、警察に証拠とか遺体とか持ってかれちまってんだから、調べる事なんて無理なんじゃねぇのか? 」
「魔隆関連の事件となると、わかり辛いところで警察が見落とすケースが多い。例えば……」
近くにあったゴミ箱に近付くと、そのゴミ箱を持ってゴミ箱の周りを調べる。
「ん? お前何やってんだ? ゴミ漁りか? 」
「……それすらも知らないのか……警察が見落とすとこは、大抵こういう痕跡のようなものだ」
疾風は俺の方にゴミ箱の後ろ側に付いてる引っ掻き跡の様なものを見せる。その引っ掻き跡には魔隆が纏ってるのと同じリクトルが付けられていた。
「黒いリクトル……魔隆が付けたって事か? 」
「あぁ……人間のリクトルは普通は目には見えないものだが、魔隆のリクトルは人間のリクトルより濃いからリクトルを解放していない奴でもそれが見える。魔隆が纏ってるあの黒い粒子がそうだ。そして……魔隆の残した現場の痕は、リクトルが微かな物だから普通の奴では見えなくなっている。その為、その痕を見逃してしまうことが多い。だが、リクトルを解放しているブレイダーなら魔隆の痕跡にあるリクトルを見ることが出来る。日は経っていても、魔隆のリクトルは濃いからな」
なるほど……魔隆から出てたあの黒い粒子もリクトルだったのか……
「勉強になったぜ。教えてくれてサンキューな、疾風」
「一応任務だからな。お前みたいな何もわかってない奴を、少しでも足手纏いにしないよう教えてるだけだ」
「ったく、素直じゃねぇ奴だな」
魔隆の痕跡にはリクトルが纏っている……てことは、俺のリクトルを見る力なら、もっとよく見えるんじゃねぇのか?
「……確かめてみるか」
グッと目を凝らし、現場全体を見つめる。すると、魔隆の残した痕跡の黒い残粒子が所々にハッキリとあるのが見えてくる。
「やっぱり…ハッキリと見えるな。で、地面には魔隆の足跡みてぇのが……ん? 」
床にかがんで魔隆が残したと思われる足跡を見ていると、その足跡は何処かへと向かってるのに気づき、足跡を目で辿っていく。
足跡は中華料理店の壁をよじ登り、足跡は窓のとこで途切れてしまっていた。
窓のとこで途切れてる事に違和感を感じ、そしてその違和感は、段々確信へと変わっていった。
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