53話 ページ4
岳斗side
「疾風っ!!! 魔隆が近くにいる!! 中華料理店の中だ!! 」
大声を出して疾風に伝え、疾風が俺の方に振り向いた瞬間に、大きなイグアナのような黒い怪物が何かを持って、2階の窓からガラスを割って飛び出してくる。
「! 魔隆……!? 」
イグアナ型の魔隆は四つん這いで地面に着地し、唸りを上げながら俺達に視線を向けた。
「お母さん……お父さんっ……! 」
少女の声がした方に視線を向けると、魔隆の左手には血が付いた白い割烹着を着て涙ぐんでる10歳ぐらいの女の子が居た。
「子供……? 」
「この状況を見るからして、店の中にいた人達は死んでるだろうな……まぁ良いだろう。出てきたのなら好都合、これ以上の被害が広がる前に、こいつを斬る!! 蒼迅丸っ!! 」
バッと右手を前に出し、自分のレイヴンの名を叫ぶと、青い大きな光が目の前に現れる。
その光を掴むと、光は青い刃の日本刀に姿を変えた。
「あれが疾風のレイヴンか……!! 」
「行くぞ魔隆、ライジングギア! 」
刀を両手で持ち、腰を低くして魔隆に刃を向け、魔隆を真剣な眼差しで見つめる。
足に一瞬青い電気がバチっとなると、青い稲妻の如く雷のスピードで魔隆の後ろへと行き、いつのまにか魔隆の左腕は切り落とされていた。
「グ……! グギャァァァァァァァァァ!! アァァァァァァァァァァ!!! 」
魔隆は切り落とされた痛みで悲鳴をあげる。
俺は疾風のスピードに驚き、呆然と立ち尽くしたままだった。
あれがあいつのギア、正に青い閃光。これが数々の魔隆と戦ってきた奴の力か……!
「グギャァ……! グギャギャギャギャァァァ!!! 」
魔隆は痛みに悶えながらも倒れている女の子に向かって走り出す。
「ひっ……!! 」
「させるかっ!! 」
稲妻のスピードで魔隆に向かっていき、蒼迅丸を振り下ろそうとする。
だが、右手で女の子を持った魔隆は女の子ごと姿を消し、驚いた疾風は蒼迅丸を振り下ろさず、少し距離を取った。
「姿が消えた……!? 能力持ち、危険度レベル50以上の魔隆か……! 」
「姿を消すだなんて……そんなもんどうしたら……」
魔隆の姿を探そうと周りを見ていると、魔隆の足跡の様な黒いリクトルが壁に増えていってる事に気づく。
リクトルの痕跡が増えてる?
けど、さっきのゴミ箱に付いてたリクトルみたいに、他のリクトルとは濃さが違う。
てことは、まさか……!
「魔隆が消えるんじゃねぇ、姿を見せなくするステルス能力なのか! 」
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