61話 岳斗side ページ12
岳斗side
「はぁっ！？ 危険度レベル50以上の魔隆を1人で倒したぁ！？ しかも、連続変死体事件の魔隆を！？ 」
本部の地下一階にある、使われなくなった薄汚れていた休憩室の様な場所に俺達は集まっており、未鶴は信じられないと言わんばかりに俺に詰め寄ってきた。
「そ、そんなに驚くことかよ……たかが1つ上のランクの奴等が討伐する魔隆だろ？ そんぐらい、倒せてもおかしくねぇじゃねぇか」
引き気味に未鶴にそう伝えると、呆れたように大きな溜息をつき、自分の額に手をあてがった。
「おかしいに決まってんでしょ……ブレイダーになりたての新米に、しかもC級ブレイダーすらも苦戦してしまう能力持ちの魔隆を普通に倒すなんて……てか、それも普通なら学校の授業でやってるはずよね！？ 」
「未鶴さん、このバカ兄が知らなくてもおかしくないですよ。体育以外は大体居眠りして授業も聞いてないんですよ。主に社会の時は」
「うぐっ……」
真冬に痛いとこを突かれる。
弁解をする余地もなかった。実際それで何回か補習を受けてるのだから。
「でも、倒せたなら別に良いんじゃないのだー？」
少し硬いソファにあぐらをかいた人に擬態化たソラがホットドッグをほうばりながらそう問いかける。
「そうとも限らんでござるよ。ソラ」
ソラの右隣にいた緑髪の和風な少年がソラの質問に答えた。
「え、なんでなのだ？ 」
「アルティネイターの決まりで、討伐する対象の危険度レベルが対象外だった時、他のブレイダーの応援を呼んでそのブレイダーに任せるのがルールでござる。危険度レベル問わずに無謀に戦って何人もの被害が出たから、そう言う制度ができたらしいでござるよ」
「なるほど……なんとなくわかったのだ！ 」
「へー……お前、頭良いんだな。ソラよりも」
「シンは侍でござる。そのぐらい知ってて当然でござるよ」
シンと名乗るその少年は腕を組んでふふんと鼻が高くなっていた。
このシンという少年はソラと同じ種類の猫らしく、ソラと同じように擬態化する事が出来るらしい。
「侍……？ 何言ってんだお前……」
「シンは侍とか忍びとか時代劇が好きでさ。テレビの影響でそれの真似事とかするんだよ。結構危なっかしい場面は何回かあるけどね……」
「お前も大分苦労してんだなー……」
苦笑いする聖に同情する。ソラもよく突っ走ることが多いため、止めるのに苦戦した経験もあるから、聖の気持ちがよくわかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
